【UFC】現役王者コーミエとミオシッチが激突 コーミエは2階級同時制覇を目指す
二階級制覇を狙うダニエル・コーミエ(左)が真夏の大一番に挑む 【Zuffa LLC】
UFCで現役王者同士の直接対決が行われるのは2009年の「UFC 94」で拳を合わせた当時のライト級王者B.J.ペン(米国)対ウェルター級王者ジョルジュ・サン・ピエール(カナダ)、そして16年の「UFC 205」で対戦したフェザー級王者コナー・マクレガー(アイルランド)対ライト級王者エディ・アルバレス(米国)に次いで、これが史上3度目となる。
コーミエとミオシッチは前回、共に「UFC 220」に出場し、コーミエはヴォルカン・オーズデミア(スイス)を、ミオシッチはフランシス・ガヌー(カメルーン)にそれぞれ完勝、タイトルを防衛し、その後、「TUF(ジ・アルティメット・ファイター)シーズン27」のコーチとしてライバル関係を高めてきた。
コーミエ、2階級同時制覇達成を目指す
「人が偉大なファイターの話をする時、必ず自分の名前があがること、それがGOAT(Greatest of All Time、史上最強)のレガシーだ。レガシーは永遠に続く。それ以外のことは色あせる。ミオシッチに勝って2階級を制すれば、俺もGOATの称号を手に入れることになるだろう。強い王者同士の、最高レベルのMMAをお目にかけよう」
そう語るコーミエは40歳の誕生日を迎える19年3月20日をもって現役を引退することをすでに明らかにしている。UFC創立25周年記念の記者会見でUFC会長のデイナ・ホワイトが、ミオシッチ対コーミエ戦の勝者が元UFCヘビー級王者で現WWEスーパースターのブロック・レスナー(米国)と戦う可能性もあると言及した際には、長年のプロレスファンでもあるコーミエは戦いたくてたまらないという表情で、うれしそうに武者震いをしてみせた。
アマレスのメダルもUFCのベルトも、すべてを獲得してきた希代のアスリートが、さらなるベルト、さらなる戦いを求めて、華麗な引退ロードを歩み出す。
立ちはだかる等身大のモンスター、ミオシッチ
現在、地上最強の王者ながら「家に帰れば、自分の序列は4番目」と等身大の姿を見せるミオシッチ 【Zuffa LLC】
しかし、そんなモンスター級の強さを誇るミオシッチの素顔はヘビー級王者という肩書きからはかけ離れたものだ。
「家に帰れば、自分の序列は4番目だ。一番上が女房、次に犬が2匹、そして俺だ。俺の役目は稼いでくることだけ。地球上最強の男になろうが、タイトルを何回防衛しようが、家では関係がない。俺は下っ端なんだ。防衛記録は誇りには思うけど、自分は家族の面倒をみることにしか興味がない」
ミオシッチは今でも地元クリーブランドの消防署で救急医療隊員として週に2、3回のシフト勤務を続けている。出動要請のない時にはコーヒーをいれたり、トイレ掃除に励んだり、雑用も進んで引き受ける。
「タイトルを譲るわけにはいかない。俺だけじゃなく、家族も、妻も、母も、友人も、職場の同僚も、コーチも、みんなが俺の夢の実現に努力をし、犠牲を払ってきたんだからね。だからベルトはわたさない。絶対にわたさないんだ」と語るミオシッチ。ガラガラ声のピープルズ・チャンプが、スーパーファイトを受けて立つ。
(文:高橋テツヤ)
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