常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018

大阪桐蔭で存在感を発揮する努力家たち〜山田健太、石川瑞貴、青地斗舞〜

沢井史

冬場にやってきた成果を出した石川

中学時代はボーイズ日本代表で4番を打った石川(写真右)。激しいレギュラー争いの末に徐々に力を発揮している 【写真は共同】

 山田健太と並ぶ実力を持つもう1人の期待の右打者がこの春は躍動した。この春の大阪大会、近畿大会で背番号3をつけた石川瑞貴だ。5月末に行われた日本体育大とのオープン戦では初めて1番に座り、鋭い当たりを連発。近畿大会準決勝の智弁学園戦でも5打数5安打を放ち、6月上旬の愛知県の招待試合では特大の3ランを、香川県の招待試合でも高松商戦で先制アーチを放つなど乗りに乗っている。

「秋までは早く結果を出したいという欲ばかりが出てしまっていました。センバツではチャンスで打てたこと(伊万里戦で4打点、花巻東戦で3打点)でチームが乗れたし、冬場にやってきたことの成果が出たと思います。練習が終わって寮に戻ってもスイングは欠かさずやってきたし、ウエイトトレーニングにも時間をかけました」
 中学時代はボーイズ日本代表の4番を務めた経歴を持つが、高校ではレベルの高い同級生との激しい競争に置いていかれる状況が続いた。昨秋からは井阪太一とファーストのポジションを争っていたが、昨年末の台湾遠征では4割を超える打率を残し、徐々に力を発揮している。

 とはいえ、石川に安堵の表情は微塵もない。

「この春の大会で徐々に結果を残せているんですけれど、確率で言えばまだまだです。もっと打率を残せるように。長打とか、ホームランというよりもっと数字を残せるようにならないといけないです」

地道な努力で結果を残した青地

レベルの高い同級生がひしめくチームの中で一心不乱にバットを振り、昨秋から結果を残した青地 【写真は共同】

 青地斗舞は昨夏の甲子園でボールボーイを務めた。能力の高い同級生がひしめくチームの中でレギュラーを勝ち取るためには、バットを振るしかない。青地は腹をくくった。

「1年生の時、すごい選手ばかりで圧倒されそうでしたが、周りがうまいなら誰よりも練習するしかない」

 父からはこう教わった。「やるからには1番を目指せ」と。

 体は決して大きい方ではない。だが、一心不乱になってバットを振り、昨秋の大会では本塁打を放つなど2番打者として活路を開いた。昨秋はチーム内でトップの4割5分7厘の打率を残し、センバツでも3割8分1厘とコンスタントに打ったが「もっと力強さをつけたい」と前を向く。

 この春はやや調子を落とした時期もあったが、うまくなりたい、もっと上へ、という意識は人一倍強い。5月末から始まった強化練習では、体のキレを意識したトレーニングを多めに取り入れ、体重も徐々に増加。「ベストの75キロまであと1キロ増やして、筋力をつけていきたい」と青地は言う。

 ドラフト候補選手に目がいきがちだが、青地のような地道に力をつけている選手の存在も大きいのが、今年の大阪桐蔭の特徴でもある。

【連載】「常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018」

【連載】「常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018」
 史上8度目の春夏連覇を目指す、夏の高校野球100回大会の一番の注目校である大阪桐蔭。常勝軍団と言われる大阪桐蔭のメンバーが、日々どんな気持ちで野球に取り組んでいるのか――個々の選手の素顔に迫る連載を6月29日から開始。7月3日掲載の5回目は、真のエースへ努力を続ける柿木蓮投手と横川凱投手をピックアップ。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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