宝塚記念過去10年の好走データまとめ 大外8枠、牝馬の激走に要注意

JRA-VANデータラボ

前走G1レース別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、G1に限った前走レース別成績。なお、海外のG1は全レースまとめて表の一番下に付記した。前走G1で出走例が圧倒的に多いのは天皇賞・春だが、好走率、回収率はひと息で、しっかりした取捨が求められそうだ。昨年G1に昇格した大阪杯からは、早速サトノクラウンが勝利。中11週と出走間隔は開くが、同じ阪神の芝内回りコース使用で、距離も200mしか違わないだけに、今後は注目の臨戦となるかもしれない。侮れないのが前走ヴィクトリアマイルで、勝ち馬こそ出ていないものの複勝率50.0%と非常に高い。好走した延べ5頭の内訳は、ブエナビスタ(2回)、ヴィルシーナ、ショウナンパンドラ、ミッキークイーンで、いずれも秋華賞1〜3着に入った馬という共通点がある。なお、前走海外G1は好走例が計3回あるものの、勝ち馬はなし。ジェンティルドンナやドゥラメンテといった名馬でも2、3着までだったことは頭の片隅に入れておいていいかもしれない。

前走天皇賞・春出走馬の各種データ

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走天皇賞・春出走馬について、前走人気別成績と前走着順別成績を示したもの。この表を見る限り、宝塚記念との相関関係が強いのは天皇賞・春の着順ではなく人気のようだ。たとえば「天皇賞・春1、2番人気」と「天皇賞・春1、2着」の成績を比較すると、前者が【3.1.1.10】なのに対して、後者は【0.1.2.11】。あるいは、天皇賞・春で6番人気以下だった馬の成績が【0.1.0.13】なのに対して、6着以下だった馬の成績は【2.2.0.14】となっている。天皇賞・春は京都芝3200m、宝塚記念は阪神芝2200mと条件がまったく異なるだけに、着順はあまり連動しないのだろう。むしろ、天皇賞・春時点での人気のほうが参考になり、1〜5番人気だった馬がいれば面白そうだ。

前走G2・G3出走馬の前走着順別成績

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、前走G2もしくはG3に出走した馬について、前走着順別成績を示したもの。この場合、前走1〜3着なら【4.2.2.17】となかなかの好成績で、勝った4頭の内訳が5番人気、6番人気2頭、8番人気とダークホースの台頭もありうる。そのなかでも、前々走も重賞3着以内だった馬は要注意。08年1着のエイシンデピュティが大阪杯(当時G2)で2着、11年1着のアーネストリーが天皇賞・秋で3着、16年1着のマリアライトも日経賞で3着と、このパターンの勝ち馬4頭中3頭は前々走でも重賞で好走を果たしていた。一方、前走G2・G3で4着以下だと合算して【0.1.1.34】。好走例も皆無ではないが、かなり苦しくなってしまう。

過去1年の重賞1着実績・距離別成績

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は、過去1年に芝重賞1着の実績を持っていた馬について、その芝重賞の距離別で宝塚記念の成績を示したものである。この表を見ると、過去1年で「芝1600m重賞1着」「芝2000m重賞1着」「芝2200m重賞1着」の実績を重視すべきことが一目瞭然。一方、芝1800mや芝2400m、芝2500mの重賞で1着した実績は、宝塚記念ではそれほど活きないようだ。

結論

 今年の宝塚記念に出走登録がある16頭から、以上で述べたデータから有力と思われる馬を挙げていこう。

 まず前走天皇賞・春組は、着順ではなく人気を重視するのがポイントだったが、今年はもっとも上位でもアルバートの6番人気だった。そのアルバートは過去10年に好走例がない7歳馬で、スマートレイアーは8歳馬。もう1頭のミッキーロケットは、5歳馬という点はいいのだが、天皇賞・春の人気が9番人気だった。今年の春天組には食指が動かない、というのが正直なところである。

 ほかに前走でG1に出走したのは4頭で、国内G1となると前走大阪杯のサトノダイヤモンドしかいない。その大阪杯では7着に敗れているが、昨年のサトノクラウンも6着からの巻き返しだった。ローテーションは悪くなく、好走例の多い5歳馬でもある。本来の実力は折り紙付きだけに、とにもかくにも当日の状態次第だろう。

 ドバイ遠征以来となるのがサトノクラウンヴィブロス。6歳馬の前者は昨年の勝利が過去1年以内の芝2200m重賞1着に相当し、5歳馬の後者は当レースで活躍が目立つ秋華賞好走馬。香港以来となるダンビュライトも、芝2200m重賞のAJCCを今年制しており、この3頭は、いずれも十分な可能性を秘めている。

 前走G2・G3出走馬は1〜3着に入っていることが条件で、前々走でも重賞で好走しているとさらにいい。この観点から浮上するのは前々走の日経新春杯で1着、前走の目黒記念で3着に入っているパフォーマプロミスだ。また、前走で芝2000mの鳴尾記念を勝ったストロングタイタンにも警戒はしておきたい。菊花賞馬のキセキは、前走の日経賞で9着に終わっており、データからは推しづらい。

 最後に香港馬のワーザーだが、海外馬の出走自体が21年ぶりとあって、データから語るのは難しい。ただ、香港の実績ではあるものの、過去1年以内に芝2000m重賞1着は持っている。また、7歳馬ではあるが、生まれが半年遅い南半球産ということを考慮すると、実質的には6歳馬と考えてもいい。昨年12月の香港カップ2着時には、今回も出走予定のステファノスやスマートレイアーに先着しており、実力を発揮できればチャンスはありそうだ。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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