大谷、打者優先での復帰はあるのか? 気になる再検査の結果とチームの判断

丹羽政善

来季、打てるなら打たせるのか?

エンゼルスは再検査の結果、大谷の起用についてどういう判断を下すのか? 【Getty Images】

 ただ、手術を選択した場合、それ以上に興味深いのが、来季だろう。

 10月にメスを入れれば、キャンプまで4カ月半。開幕まで6カ月。おそらく半年も経てば、投げない限り、制限なく野球の動きができるようになる。トミー・ジョン手術を行った野手の復帰までの期間は7〜8カ月とされるが、それは投げることも想定してのこと。投げる必要がなければ、6カ月で十分だそう。となると、大谷は開幕に間に合う。であればエンゼルスには来季、大谷を指名打者に専念させる選択肢が生まれる。

 投手としてのリハビリメニューをこなさなければならないので、フルタイムというわけにはいかないだろうが、果たしてそこで、エンゼルスは打たせるのか、あるいはリスクを考慮して、投手として復帰するまでは“打者・大谷”を封印するのか――。

 無論、最初から決めてかかる必要もなく、状態を見ながらということになるのだろうが、今回、再検査の結果を受けて、どうエンゼルスが判断するかは、仮に手術に踏み切った場合、来季はどうするか――という点において、その基準となりうる。あくまでも投手としての復帰が優先なのか。打てるなら打たせるのか――。

損傷が別の箇所なら慎重になる可能性も

 そんな中で、考慮すべき別の問題も見え隠れする。

 先日、米スポーツサイト『ファンラグ・スポーツ』のジョン・ヘイマン記者が、今回の靭帯損傷は新しい箇所だとスクープした。昨年12月の契約直後、米『ヤフー・スポーツ』が、大谷が靭帯を痛め昨年10月にPRP注射を行ったと報じ、今回の損傷はその再発とみられていたが、新しいものとなると、少なからず復帰プランに影響が出る恐れがある。

 というのも、エンゼルスはキャンプから慎重に投手・大谷を起用してきた。シーズンに入っても同様で、中6日を守り、二刀流の疲労を考慮して、それ以上の間隔を空けることもあった。同時に球数などもモニター。故障には細心の注意を払ってきた。今回、それでも靭帯を痛めたのである。

 当然、その原因を分析しなければならない。彼自身の投球フォームに問題があるのか、滑るボールといったメジャー特有の事情に起因するのか、はたまた二刀流に原因があるのか。今季はただでさえエンゼルスの投手陣に故障が相次いでいるだけに、徹底的に検証が行われるはずだ。

 ソーシア監督の言葉をたどると、早期復帰もあるのではという期待が膨らむ。一方で検証に時間を要するようなら、話はもつれるかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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