国立大学のドラフト候補投手に全国の壁 広島大・中田朋輝が大舞台で感じた課題
148キロの速球を武器にする本格派
春の大学野球日本一を決める全日本大学野球選手権。決勝は神宮球場で行われる 【写真:ペイレスイメージズ/アフロ】
先発は今年のドラフト候補として名前が挙がる中田朋輝(4年/宇部高)。185センチ87キロと恵まれた体格から、ステップ幅がやや狭く、右上手から投げ下ろすフォームで、最速148キロのストレートを記録する。今春のリーグ戦では6勝2敗、防御率0.89でベストナイン、MVP、最優秀防御率の三冠に輝き、人生初となる全国の舞台に乗り込んできた。
ボール先行の苦しいピッチング
2回以降、変化球の抜け球が多く、ボール先行の苦しいピッチング。カウントを取りに行った甘いボールを狙い打たれ、失点を重ねた。終わってみれば6回、13安打、2奪三振、4四死球、8失点。「自分の実力不足。リーグ戦では押し込めていたストレートや空振りが取れていた変化球が通用しなかった。悔しいです」と唇をかんだ。
「将来はプロを目指したい」と明言
今後の人生において、ひとつの試金石となったであろう大舞台。「全国がどういうものが分かった。このままでは上のレベルでは通用しないので、ここを基準に、目標である150キロを出せるよう真っすぐを鍛え直します」ときっぱり。1日10時間勉強をして難関大を突破した根性、常に現状に満足しない向上心でさらなる成長を目指す。
敗戦にも前向きな広島大野球部
スポーツ推薦がなく、一般入試で進学してきた59名が所属する野球部。東広島市役所に勤める25歳の毛利監督は週末の指導しかできない中、選手主体で野球に取り組んできた。2ランを放った國政は選手同士でバッティング談義をしながらインターネットなどで情報収集をして、バットを振り上げる独特のフォームを作り上げた。
3回目の出場も全国初勝利はならなかった。ただ、試合後、毛利監督は「次はやってやるぞ、また戻ってくるぞ」と前向きな選手たちに大きな頼もしさを感じたという。中田以外にも2番手で登板した本田昂大(3年/刈谷高)は最速146キロのストレートで2回無失点と大きな経験を積んだ。「本田の存在は刺激になる。投手陣全体でレベルアップをしてまた秋に戻ってきたい」(中田)と、決して環境に恵まれているとはいえない広島大の挑戦は今後も続く。
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