【DDT】 入江は石井の挑戦退けKO−D王座防衛 HARASHIMAを酒呑童子が救出

高木裕美

DDTの世代闘争は1日で終焉

「ナウ・バラエティ班vs.ニュー・バラエティ班」の対決は、ディーノへのサプライズという形で大団円となった 【写真:前島康人】

「ナウ・バラエティ班vs.ニュー・バラエティ班」による「サマーナイトフィーバー・イン・後楽園」は、予想外の結末を迎えた。

 かつて、新日本プロレスで1987年に「ナウリーダーvs.ニューリーダー」による世代闘争が勃発したが、それから実に30年以上の時を超え、男色ディーノ&アントーニオ本多&スーパー・ササダンゴ・マシンによる「ナウ・バラエティ班」に、大石真翔&島谷常寛&下村大樹with飯野雄貴による「ニュー・バラエティ班」がかみ付くという事態が発生。試合前恒例のササダンゴによる「煽りパワーポイント」では、「若い世代はキャラかぶりがほとんどいない大石のポジションを狙うべき」という正論を訴えたが、すでに遅く、島谷がディーノ、下村が本多、飯野がササダンゴのコスチュームで、真っ向勝負を挑んできた。

 ディーノよりもTバックの食い込みを強調した島谷は、レイザーラモンHGばりの「フォーッ!」を連発。「このプロレス界にオレたちの代わりなんていないことを証明してやる」と意気込むササダンゴには、飯野が「煽りパワーポエム」略して“煽りパワポ”で、相田みつをを意識したポエムを吟じるなど、「ニュー」とうたっている割には、ふた昔前のお笑い芸人ネタで、会場を微妙な空気にさせる。

 リングインの際にロープに足を引っ掛けて倒れ、「ギブアップの前に、昨日考えてきた昔話を」と訴える本多には、下村が「新時代の昔話」で対抗しようとするが、本多は下村が用意したメタリックな「ロボぎつね」を強奪。部下の手柄を横取りする悪徳上司ぶりを見せ付けるも、ロボぎつねの反撃にあいダウン。すかさず下村が本多のお株を奪うバイオニックエルボーで攻勢に出ると、島谷もロボぎつね、そして本多にリップロック。大石がディーノの男色ドライバーに狙われると、飯野も再度の「煽りパワポ」で阻止しようとするが、大石に誤爆してしまい、ディーノがロープをつかんでのゲイ道クラッチで勝負を決めた。

 試合後、本多が突然倒れたかと思いきや、「ハッピーバースデー」を歌い出し、5月18日に41歳となったディーノを祝福。ササダンゴも「世代闘争はDDTには似合わない。そもそもDDTには年齢とかキャリアとか、上下関係とか、そういうのは関係ない。それを教えてくれたのがあなた。41歳になっても変わらぬご活躍、期待してますよ」と呼びかけ、DDTのプロデューサー兼プレーヤーとしてのさらなる“暴走”にエールを送った。

 本家・新日本では、アントニオ猪木、坂口征二、藤原喜明、星野勘太郎らナウリーダー軍の中に、ニューリーダー軍の長州力、藤波辰巳、木村健悟、前田日明、ストロングマシンよりもさらに若い武藤敬司が入る(当初のメンバー予定であったマサ斉藤の飛行機遅延のため)という謎のメンバー構成などによって世代闘争というテーマがブレまくった結果、すぐにうやむやになり、わずか数カ月で終焉。だが、そもそも世代闘争自体がなかったDDTでは、わずか一日で終了となった。

竹下は勝俣に快勝 梅田は樋口と引き分け

竹下幸之介は勝俣瞬馬をBrainbustaaaaahhhhh!!!!!で勝利 【写真:前島康人】

 前KO−D無差別級王者の竹下幸之介は「ALL OUT」対決となる勝俣瞬馬との一騎打ちに快勝した。

 勝俣は身長差をモノともせず、真っ向からエルボーで向かっていく。竹下が逆エビ固めでとらえ、ヒザ蹴り、旋回式ブルーサンダーを繰り出すと、勝俣も鉄柱超えケブラーダ、ミステリオラナ式フランケンシュタイナー。ムーンサルトプレスはかわされ、着地したところへ、竹下がラリアットを発射。勝俣は張り手、トラースキック2連発から雄たけびを上げてコーナーに上がったところ、竹下がつかまえてBrainbustaaaaahhhhh!!!!!で勝利。竹下が12年8.18東京・日本武道館大会でのデビュー戦で、エル・ジェネリコから食らった思い出の技で仕留めると、ALL OUTの仲間として、勝俣の奮闘を称えた。

「梅田公太“狂犬”七番勝負」では、梅田(左)が樋口と引き分けで終える 【写真:前島康人】

 abema TV「マジ卍」トーナメントに優勝し、未来のエースとして注目される梅田公太は、デビュー戦の相手であった樋口和貞と一騎打ち。勝利は奪えなかったものの、両者KOによる引き分けで、3年半の成長の証をみせつけた。

 梅田は14年11.28東京・北沢タウンホールで行われたDNA旗揚げ戦で樋口を相手にデビュー戦を行うも、カナディアンバックブリーカーで敗北。その後、負傷欠場をへて、DNAの上野勇希、竹田光珠と共にKO−D6人タッグ王座を初戴冠。「マジ卍」トーナメント優勝の副賞として「梅田公太“狂犬”七番勝負」が組まれ、これまで、プロレスリング・ノアの潮崎豪、大日本プロレスの伊東竜二と対戦。6.12新木場では第3戦で田中将斗と戦うことが決定している。

 梅田は序盤から鋭い蹴りを連発。樋口のビッグブーツをかわし、スワンダイブ式ミサイルキックを放つと、樋口のヘッドバットを食らいながらも、ジャンピングニーで対抗すると、樋口もぶちかましで両者ダウン。起き上がった梅田のハイキックに樋口もラリアットで対抗するが、再び倒れこむと、両者ともにカウント10以内で起き上がれず。両者KOで引き分けとなった。

謎のマスクマン軍団が連勝街道をひた走る

KUDOは3人のマスクを剥いだとされ販促負け。謎のマスクマンたちの策略にはめられた 【写真:前島康人】

 全国を席巻中の謎のマスクマンたちが聖地初見参。タカティモ・ドラゴン&ヒラティモ・ドラゴン&リホティモ・ドラゴン&大鷲透組が、KUDO&坂口征夫&高梨将弘&赤井沙希組から鮮やか(?)な反則勝利を収めた。

 前回の4.29後楽園大会で行われた「敗者国外追放マッチ」で黒星を喫した平田一喜の国外追放が決まったと同時に、翌日の4.30津大会より参戦が発表されたタカティモ&ヒラティモの2人。今大会では、新たに謎のマスクウーマン、リホティモまでもが登場した。

 元闘龍門出身の大鷲だけが浮かない表情を浮かべる中、ドラゴントリオは「セパラドス」に乗って登場。臆面もなくゴールドのコスチュームをまとったヒラティモは、坂口に「おまえ、平田だろ」と言われるが、「だから、平田じゃないって言ってるでしょうがー!」と逆ギレ。ドラゴン3人がグルグル回り、客席から「分からない」コールが起こる、メキシコというよりも鶴見青果市場の風が起こる中、メキシコカラーのマスクをつけたリホティモや大鷲がルチャムーブを見せるが、「ドラゴン」を勘違いしたタカティモだけは、ドラゴンリングイン、ドラゴンスクリュー、ドラゴンスリーパーと、究極龍ではなくマッチョドラゴンな技を連発。調子に乗りまくった挙句、坂口のスリーパーにつかまり、瞬時にタップしてしまうも、たまたまレフェリーが気づかず命拾い。

 マスクマントリオのトリプルドロップキックが大鷲にモロに誤爆するなどピンチが続く中、KUDOによってヒラティモがコーナーにとらえられると、タカティモ、リホティモの2人は、自分からマスクを脱ぐと片手で顔を隠したまま、相手チームの反則をアピール。松井レフェリーは疑いの目を向けるが、ヒラティモもマスクを脱いでKUDOにかぶせ、さらに両手にタカティモ、リホティモのマスクまで持たせたため、3人分のマスクをはいだと判定した松井レフェリーは、KUDOに反則負けをアピール。

 これでまた反則による連勝街道を更新したタカティモは、高木三四郎そっくりな素顔を隠すこともせず、堂々と顔出ししながら勝利をアピールした。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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