【全日本プロレス】CC・Bブロックはノア丸藤が決勝へ 秋山との5年半ぶりのシングル戦で勝利

高木裕美

諏訪魔は決勝進出目前で伏兵に完敗

諏訪魔は伏兵ディラン・ジェイムスの前に完敗 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、08年以来10年ぶり2度目の優勝を狙っていた諏訪魔が伏兵ディラン・ジェイムスに完敗。決勝進出を目前で逃した。

 公式戦ではメインに出場する秋山、丸藤に共に勝利しており、この試合に勝てば決勝進出の可能性が濃厚であった諏訪魔。開始5分を待たず、ブレーンバスター。コンプリートショットから「投げるぞ、オイッ!」と早くもラストライドを予告するが、これは不発。ジェイムスがラリアット、ブレーンバスターで反撃に出ると、諏訪魔もドロップキック、ラリアット、バックドロップを繰り出すも、ジェイムスもラリアットでお返し。ラリアットの相打ちはジェイムスがパワーで打ち勝ち、すかさず強烈なチョークスラムを発射。諏訪魔にはもはや返す力もなく、3カウントを献上した。

 08年のCCでは、決勝戦で当時すでに新日本プロレスのエースであった棚橋弘至を倒し、デビューからわずか3年5カ月の史上最短記録で初優勝。だが、その後は12年、15年に準優勝(それぞれ優勝は太陽ケア、曙)した以外、決勝進出すら果たせず。今年もあと一歩で頂点を逃した。

KAIが逆転でゼウスに勝利

KAIは本家公認雁之助クラッチでゼウスから3カウントを奪った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 決勝進出経験者対決は、ゼウスのパワーをKAIがテクニックで封じ込めた。ゼウスは16年(優勝は関本大介)、KAIは13年(優勝は秋山)の決勝で敗れ共に準優勝。諏訪魔、秋山ら大物食いを果たし、4勝2敗と決勝進出の可能性を残すゼウスだが、左足の肉離れのダメージは大きく、ロングタイツでテーピングを隠していても、KAIには弱点が丸見え。KAIは低空ドロップキック、ドラゴンスクリュー、鉄柱攻撃、ヒザ固めと一点集中攻撃。だが、ゼウスもKAIのトペスイシーダをキャッチし、そのまま場外マット上へブレーンバスターを決めるという離れ業を見せると、さらに客席に振ってダメージを蓄積させ、リングに戻してマシンガンチョップを連射。

 10分過ぎ、KAIのスプラッシュプランチャをカウント2で跳ね返したゼウスが、バイセップスエクスプロージョン、チョークスラムからジャックハマーで勝負を賭けるが、KAIが素早く切り返し、本家公認雁之助クラッチで3カウントを奪取。すでに決勝進出の可能性は失われていたKAIだが、最後の最後で意地を見せた。

元新日本対決は吉江に軍配

吉江とヨシタツの元新日本プロレス対決は吉江に軍配 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 元新日本プロレス対決となったヨシタツvs.吉江豊は、先輩・吉江が貫禄勝ち。22日の名古屋大会では、「生理的に嫌い」とまで言い放った宿敵・諏訪魔にヨシタツロックから改名した変形肩固め「ヨシタツ幻想(ファンタジー)」で会心の勝利を奪ったヨシタツだが、最後に足元をすくわれた。

 吉江は94年に新日本に入門し、06年1月に退団。現在はフリーとして数々の団体に上がっている。

 一方、ヨシタツは02年に新日本に入門し、07年の海外遠征をへて08年に退団。その後、米WWEに入団し、日本人スーパースターとして活躍するも、14年に解雇され、同年に新日本に復帰。棚橋のパートナーに抜てきされるも、首の負傷で長期戦線離脱となり、復帰は果たしたが17年に新日本との契約を終了。同年9月より全日本に参戦している。

 試合前に吉江が握手を求めると、ヨシタツも呼応。序盤から場外でエルボー合戦を繰り広げると、ヨシタツがニールキック、スワンダイブ式ミサイルキック。吉江も雪崩式ブレーンバスター、ラリアット、アバランシュホールドで痛めつけると、ヨシタツはヨシタツ幻想で捕獲するが、吉江がこれをこらえ、テーズプレス、セントーン、裏拳、ボディープレスからダイビングボディープレスと一気に畳み掛けて勝利。かつての後輩を圧殺した。

Aブロックは最後まで分からない混戦に

DRAGON GATEの鷹木が野村に勝利し、決勝進出へ一歩前進した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 この日唯一のAブロック公式戦では、DRAGON GATEの鷹木信悟が野村直矢を下し、4勝2敗の1位タイに浮上した。

 野村はゴングと同時に突進し、試合のペースを握ろうとするが、鷹木は場外にエスケープし呼吸を整えてから場外ブレーンバスター。野村もノーザンライトスープレックス、スピアーからのフロッグスプラッシュを決めるも、2発目は鷹木がヒザ剣山でブロックし、バックドロップ。エルボー合戦から鷹木がワンツーエルボーをたたき込み、DDT、パンピングボンバーからのMADE IN JAPANでフィニッシュとなった。

 Aブロックの得点状況は、宮原健斗(3勝2敗1不戦勝)、ジョー・ドーリング(4勝2敗)、火野裕士(4勝2敗)、鷹木(4勝2敗)の4選手が8点で並び、石川修司(3勝3敗)、崔領二(3勝3敗)が6点で追いかける展開。29日の最終公式戦では、宮原vs.火野、石川vs.鷹木、ドーリングvs.野村、崔vs.ボディガーが組まれており、まだまだ最後まで決勝進出者は読めない状況だ。

 すでにBブロックはノアの丸藤が決勝に進出。“方舟の天才”の前に立つのは、現三冠ヘビー級王者の宮原か、前三冠王者で圧倒的パワーを誇るドーリングか、パワーとテクニックを併せ持つ火野か、邪道魂を継承する異端児・鷹木か、CC2連覇を目指す石川か、現世界タッグ王者の崔か。16年の関本、17年の石川に続き、3年連続で外敵優勝となるのかも気になるところだ。

ジェイクは復帰に向け再びあいさつ&ユニット脱退宣言

5月の復帰を宣言しているジェイクは、「NEXTREME離脱」を宣言 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 昨年7月に左ヒザを負傷し、長期欠場中のジェイク・リーが、3.25さいたまスーパーアリーナ大会に続き、再びスーツ姿で登場。5.24東京・後楽園ホール大会での約10カ月ぶりの復帰戦を前に、「NEXTREME離脱」を宣言した。

 ジェイクは現三冠ヘビー級王者の宮原健斗率いるユニットNEXTREMEに所属し、野村直矢と共に世界タッグ王座を保持していたが、初防衛成功直後に「左膝前十字靭帯断裂、内側靭帯損傷、骨挫傷」の診断を受け、王座を返上して手術&リハビリを行っていた。1カ月前に続き、再び観客の声援を受けながらリングに上がったジェイクは「先月、復帰のあいさつをしましたが、ひとつ言いそびれたので伝えに来ました。宮原健斗、野村直矢、青柳優馬、この3人と対峙すべく、私はNEXTREMEを抜けます。復帰戦は5月24日、皆さんのご来場をお待ちしております」と決意表明をすると、客席からは期待を込めた大きな拍手が起こった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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