【大日本プロレス】「一騎当千」4強決定で北海道決戦へ 宮本&木高が“蛍光灯地獄”制し戴冠

高木裕美

デスマッチとストロングが隔年の「一騎当千」

隔年でデスマッチとストロングBJが行われる「一騎当千」。今年はストロングBJの選手がシングルNO.1をかけて戦っている 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 5日の大日本プロレス「一騎当千〜STRONG CLIMB〜」東京・後楽園ホール大会では、シングルリーグ戦「一騎当千」の公式戦3試合やBJW認定タッグ選手権試合などが行われ、830人を動員した。なお、休憩時間には、大日本プロレス初の公式写真集「COUNT 0」(定価3,000円)の発売(5.5神奈川・横浜文化体育館で先行販売)も発表された。

 12選手参加のシングルリーグ戦「一騎当千〜STRONG CLIMB〜」では、決勝戦に進出する4強が決定。15日の北海道・ススキノマルスジムでの決勝トーナメントの組み合わせは橋本大地(Aブロック1位)vs.関本大介(Bブロック2位)、鈴木秀樹(Bブロック1位)vs.中之上靖文(Aブロック2位)に決定した。

「一騎当千」とは「一人の騎兵で千人の敵に対抗できるほど人並み外れて強い」という意味の四字熟語で、2011年より大日本のシングルリーグ戦としてスタート。奇数年はデスマッチの「DEATH MATCH SURVIVOR」、偶数年はストロングBJの「STRONG CLIMB」を交互で行い、今年はストロングの年となる。

 なお、歴代優勝者はデスマッチの11年が佐々木貴、13年が伊東竜二、15年がアブドーラ・小林、17年が高橋匡哉という顔ぶれ。一方、ストロングでは12年が佐々木義人、14年&16年が石川修司となっている。

 95年3.16横浜文化体育館で旗揚げして以来、異色のデスマッチで話題を集めてきた大日本だが、近年はストロング部門も充実。関本大介や岡林裕二などがメジャー団体でも大活躍することで、憧れて入門した若手も育ってきている。

「背水の陣」の中之上が王者・大地から白星

Aブロック1位通過となった橋本大地(左)は、2位通過の中之上靖文に「必ず決勝に上がってこい」とマイク 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントはAブロック公式戦で、現BJWストロングヘビー級王者の橋本大地が中之上靖文と対戦。「勝てば決勝進出」がかかっていた中之上が、王者から執念の1勝をもぎ取った。

 中之上はアニマル浜口ジムをへて、全日本プロレスで10年1月にデビュー。だが、2年8カ月もの間、自力勝利がなく、後輩にも追い抜かれる状況であったが、12年9月に元三冠ヘビー級王者である浜亮太を破り、念願の初勝利をマーク。その後はWRESTLE−1、大日本と戦場を移してきた。

 一方、大地は“破壊王”故・橋本真也さんの長男として11年3.6ZERO1東京・両国国技館大会で蝶野正洋を相手に華々しくデビュー。その後も大物レスラーと多数一騎打ちを行い、IGFをへて大日本に入門。昨年12.17横浜大会では、自身初のベルトとなるBJWストロングヘビー級王座を戴冠した。

 最後の公式戦を前に、すでにAブロック1位通過を決めていた大地に対し、中之上は勝てば2位で決勝進出。負ければ浜が決勝進出という背水の陣の状況。その焦りからか、序盤から場外でエルボー合戦を仕掛けると、大地もエルボー、キックで反撃。大地はドロップキック、串刺しニーと打撃でたたみかけるも、中之上が蹴り足をキャッチしてパワーボムで投げると、大地のサッカーボールキック、エルボー、DDTを受け止め、ラリアット、ローリングエルボー、ダイビングエルボードロップで反撃。なおも大地はニールキック、ファルコンアローから後頭部へのシャイニングウィザードを繰り出すも、中之上が渾身のナックルをたたき込み、ラリアットで1回転させてカウント3をもぎ取った。

 試合後、「札幌の決勝で、そのベルトを賭けてもう1回やろうぜ」と呼びかけた中之上に対し、大地も「すげえ楽しかった。めちゃめちゃエキサイトできました。タイトルマッチも願ったり叶ったり。必ず決勝に上がってこい」と、決勝戦での再会&熱いタイトルマッチの実現を誓い合った。

前王者・鈴木が快勝で4強進出

橋本和樹(右)は前ストロング王者・鈴木(左)と激しくやり合うも勝利できず4強に進めず 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 Bブロック公式戦では、前BJWストロングヘビー級王者の鈴木秀樹が橋本和樹を“完封”し、1位通過を決めると、試合後も和樹と激しくやり合った。

 鈴木は“人間風車”ビル・ロビンソン氏の指導を受け、08年11月にIGFマットでプロレスデビュー。その後、さまざまな団体にフリーとして参戦し、大日本では昨年3月にストロング王座を戴冠して以来、5度にわたり防衛に成功。同年のプロレス大賞・技能賞を獲得した。

 先に入場した和樹は、花道で待ち伏せし、鈴木が入場してきたところを急襲。そのまま客席になだれ込んでやり合うと、リングに戻り、鈴木がラリアットでなぎ倒したところでようやくゴング。鈴木はまたも場外に連れ出してキックを連発し、エルボーでなぎ倒すと、和樹もリング上で左ヒザ攻めからドラゴンスクリュー、足4の字固め。しかし、鈴木も張り手で倒し、バックドロップ、ダブルアームスープレックスで、わずか4分足らずで勝負を決めた。

 試合後、「和樹、めちゃくちゃやるね。まあ、おまえだから、こんなもんだよ」と吐き捨てた鈴木は、再びリングに戻って和樹にエルボー、キック。止めに入ったセコンドにも殴りかかるエキサイトっぷりを見せると、和樹も後を追いかけ、バックステージでバトルを繰り広げた。

 さまざまなことにチャレンジした結果、中途半端なスタンスで確固たるポジションを築けていない和樹を「つまらねぇ」と一刀両断した鈴木は、「開幕戦で負けた関本と決勝戦でやって、優勝して借りを返す」と、3.11福岡・博多スターレーン大会で敗れた関本へのリベンジを誓い、堂々の優勝宣言をした。

 もうひとつのBブロック公式戦では、河上隆一が宇藤純久に敗れ、決勝進出を逃した。3.31大阪では関本から1勝を挙げ、「勝てば決勝進出」のチャンスをつなげた河上だったが、宇藤の鉄柱攻撃やジャンピングニー、ギロチンドロップ、スリーパーに攻め込まれると、ラリアットからのリバースタイガードライバーに3カウントを献上。勝ち点で関本が決勝進出を決めた。

1/2ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント