ヤンキースが主役の座にカムバック! 最強打線がチームの不安を吹き飛ばす

杉浦大介

ア・リーグ東は2強がけん引

先発陣は田中(写真)とセベリーノが軸になる 【Getty Images】

「ア・リーグ東地区はヤンキースとレッドソックスが中心に戻り、今後しばらくは彼らの時代が続くんじゃないか」

 伝統のライバル同士が久々にそろってプレーオフに進んだ昨季後半、某チームのスカウトがそう述べていたことがあった。

 その言葉通り、今季のこの地区では2強が突っ走ることが有力。過去2年連続地区制覇を飾ったレッドソックスは、クリス・セール、デービッド・プライスという左腕2枚看板を抱え、今オフには昨季45本塁打を放ったJ.D. マルティネスを獲得した。昨季王者アストロズと並ぶ優勝候補と目されるようになったヤンキースに、地区内で対抗できるとすればやはりこのチームだろう。

 1995年にワイルドカード制度が始まって以降、2014年を除き、すべてのシーズンでヤンキース、レッドソックスのいずれか、あるいは両方がプレーオフに進んできた。過去23年間で、どちらかがワールドシリーズに進むこと10度。大都市チームが順当に勝ち進むことに不満のベースボールマニアは少なくないとしても、予定調和の大作映画は一般的により多くのファンを惹きつけるものだ。

 ヤンキースとレッドソックスが昨季に続いてしのぎを削れば、東海岸は必然的に盛り上がる。そして、18年の目玉はやはりスタントンを獲得したヤンキース。名門が“悪の帝国”らしさを取り戻し、10年に記録した現ヤンキー・スタジアムでの376万5807人というシーズン観客動員記録を上回る数字を今季にたたき出しても驚くべきではない(昨季は314万6966人)。

 スタジアムを訪れたファンは、ジャッジ、スタントン、サンチェスの打席から目が離せない。熱狂的なファンだけでなく、失敗を切望するアンチもその行方に注目している。ひさびさにリーグ全体のターゲットになるという意味で、どこか懐かしさを感じさせるヤンキースの18年が間もなく始まろうとしている。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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