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大谷の速球、重要なのは高低よりもコース
スプリング・トレーニングリポート(5)

主力が並んだロッキーズ相手に7失点

ロッキーズ戦の2回に7失点を喫し、ソーシア監督(左)に降板を告げられる大谷
ロッキーズ戦の2回に7失点を喫し、ソーシア監督(左)に降板を告げられる大谷【写真は共同】

 大谷翔平は、3月16日(現地時間)のロッキーズ戦でスプリング・トレーニング4度目の登板を迎えた。相手のトップバッターは、昨季のナ・リーグ首位打者に輝いたチャーリー・ブラックモン。3番には3年連続でシルバースラッガー賞を受賞しているノーラン・アレナドが座るなど、この日のロッキーズはほぼフルメンバーで臨んでいた。


 大谷はここまでマイナークラスとの対戦が多く、メジャーの主力で構成された打線相手の登板は初めてだった。試合開始の約30分前にグラウンドに姿を見せると、外野でキャッチボールを40球、ブルペンで30球ほど投げ込み、マウンドへと向かった。


 結果は厳しいものとなった。初回こそ無失点に抑えたものの、2回にアレナドの3ランを含む2本塁打を浴びるなど7失点。この回8人目の打者から三振を奪い、ようやく1アウトを取ったところで降板した。


 大谷はロッキーズ戦の2発を含めて4試合で4本塁打を許しているが、球種はすべてストレートだ。これは、日本にいた頃では考えづらかったことである。

【画像提供:データスタジアム】

 上の表にある通り、ここまでの大谷は「ストレート29球につき1本」というペースで本塁打を打たれている。日本時代は「ストレート329球につき1本」だったので、10倍以上のハイペースだ。


 日本時代は最速165キロをマークするなど、ストレートは大谷の代名詞ともいえる球種だが、現状では外国人選手のパワーにはね返されている。

どのコースに投げるべきか?

 では、本塁打を打たれにくくするために、ストレートをどのゾーンへ投げればいいのだろうか?

【画像提供:データスタジアム】

 上の図は投球ゾーン別に、右打者がどのくらい本塁打を打っているのかを示したものだ。左がメジャーリーグ、右が日本プロ野球のデータとなる。この13区分のゾーンはメジャーリーグの公式ホームページやMLBが運営する『Baseball Savant (https://baseballsavant.mlb.com/) 』で使われているゾーンで、黒い太線の内側がストライクゾーン、外側はボールゾーンを表している。


 2017年のメジャーリーグでは史上最多の6105本塁打が飛び出しており、さすがに日本プロ野球よりも本塁打割合の高いゾーンが多い。中でも「内角真ん中の高さ」の本塁打割合は日本の約2倍であり、注意すべきゾーンとなっている。


 また、どちらも「外角低め」が最も打たれないゾーンとなっているが、そこから「真ん中低め」へとコースがずれるよりも、「外角真ん中の高さ」へと高さがずれた方が、やや本塁打の危険性は小さいことがわかる。


 左打者の同じデータも見てみよう。

【画像提供:データスタジアム】

 ほぼすべてのゾーンで日本プロ野球よりメジャーリーグの本塁打割合が高く、左のパワーヒッターの多さがわかる。「内角真ん中の高さ」は日本プロ野球との差が大きいこと、ともに「外角低め」が最も小さく、そこからコースがずれるよりも高さがずれた方が本塁打になりにくいことなど、右打者と共通の傾向が見られる。


 以上をまとめると、まず内角の真ん中の高さは要注意であり、さらに、外角低めを投球の原点として考えた場合、「高低を間違えないこと」以上に「コースを間違えないこと」が大事だと考えられる。もちろん、外角低めにコントロールされることに越したことはないのだが、「困ったら低め」というよりも「困ったら外角へ」を徹底した方が良さそうだ。

データスタジアム金沢慧
データスタジアム金沢慧

1984年生まれ、福島県出身。学習院大経済学部卒業、筑波大大学院体育研究科修了。データスタジアム株式会社ナレッジ開発チーム兼ベースボール事業部アナリスト。TVや雑誌などのメディアで野球データを生かしたエンターテインメントの製作に数多く携わっており、NHK BS1で放送されている「ワールドスポーツMLB」や「球辞苑」ではデータ解説役として出演。また、プロ野球のチームに対してもセイバーメトリクスの手法を用いた分析や、トラッキングデータの解析を行っている。大学で行われている講義やAI野球解説プロジェクト「ZUNO」の監修に携わるなど、さまざまな分野との連携も多い

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