記者1番人気は武豊クリンチャーにあらず 今年は波乱か、GII阪神大賞典の座談会
競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会
今年も勝つのは1番人気? クリンチャーがGI獲りへ猛アピール
前走はGI馬4頭相手に勝利を収めたクリンチャー(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
中邑「前走の京都記念は、ロスの少ないレースで、馬場状態も味方した印象を受けましたが、それでも昨年のクラシックホース2頭をはじめとするGI馬4頭を抑えての勝利は価値がありますね。菊花賞の2着にしても、勝ちに行くレースで強い内容でしたし、同じ3000mなら良馬場でも強さを示すことができると思います」
桜井「とにかくここにきての地力強化は目覚しいものがありますし、今年緒戦となるライバル達と比べて順調度でも上なんですから、嫌う理由はありませんね」
加茂「クリンチャーは、元々が叩き良化型やったことを考えても、前走は値打ちのある勝利と言えるやろ。かつては調教で動かなかった馬が、今では別馬のように坂路でもコースでも好時計を出しているし“以前は不正駈歩(前脚と後脚で手前が違うこと)になることもあったが、それが解消したことも成長の証”と、宮本師も目を細めていたで。良馬場でどうこうも、高速決着だった皐月賞で4着やったら時計勝負でも心配はないし、前走より相手がかなり楽になったここは、負けられんやろ」
那谷「ただ、皐月賞もそうなんだけど、キレ味勝負になったセントライト記念を含めた良馬場での重賞で馬券対象になったことがないのは事実だし、今回はキャリア初の1番人気となりそうだけど、時計や上がりの速い馬場でここ2戦のような強さを発揮できるかどうかは未知数だと思うけどな」
デスク「長丁場での実績では、ステイヤーズSの3連覇など長距離重賞4勝のアルバートが断然の存在ではあるよな」
瀬古「アルバートは、GIIまでなら無類の強さを発揮するものの、GIでは健闘止まりという戦績ですが、今年はそのGI馬が不在というメンバー構成ですからね。長距離戦での安定ぶりを素直に評価すべきだと思います」
吉田「馬場が渋れば渋るほどいいクリンチャーと対照的に、アルバートはキレ味が生きる良馬場でやりたいクチや思いますが、天気予報を考えてもアルバートに分がありそうですわ。最近の敗因も、3走前が4角で外へ振られる不利、2走前が重いハンデとハッキリしてますし、あとはテン乗りの福永騎手がどう御すかだけでっしゃろ」
小島「ここは7歳にしてキャリア初となる阪神コースが鍵となるでしょうが“距離が長ければコースはどこでもいいが、直線に坂があってタフさも要求される阪神はけっして悪くない”と、陣営も不安視はしてません。瀬古さんも言っていたように、GIではいつも少し足りませんが、それ以外の長丁場では崩れたことがありませんし、陣営もここをキッチリ勝つモードの仕上げです。極端な不利でもない限り、まず上位争いになりますよ」
須藤「僕は実績での比較で最上位と言えるのは、“GIで3度の馬券対象”を誇るレインボーラインだと思います。その内容も、高速決着の菊花賞2着に、極悪馬場の秋天3着と、バラエティに富んでいて、条件を問わない強味がありますね。その天皇賞も含めた昨秋のGI3戦は、いずれも人気以上の健闘でしたし、阪神コースも2勝を挙げているほか宝塚記念でも5着と、相性は良いと言えます。このメンバーなら、3歳春以来久々の重賞勝ちが期待できますね」
広田「前走の有馬記念も、ラストはジリジリと差を詰めていましたし、キタサンブラックからコンマ7秒差なら評価できますよ。この中間の放牧で十分にリフレッシュできたようで、帰厩後も元気一杯。元々、日曜の坂路で速い時計を出す厩舎ですが、それにしても先週日曜の51秒0は絶品の動きで、これには普段から調教で跨ぐ浅見助手も“いつもの休み明けと比べても仕上りはいい”と好感触でした。3000m戦は久々となるだけに、折り合いが鍵とはなりますが、手頃な頭数でロスなく立ち回ることができれば、勝負になっていいでしょう」