【UFC】40歳ヴェウドゥムの闘志は健在 ヘビー級タイトル再奪取に照準
再びヘビー級王座戦線へと照準を合わせるファブリシオ・ヴェウドゥム 【Zuffa LLC】
ヴェウドゥム、得意の寝技で必勝を期す
「あの時は調子に乗りすぎて集中力が欠けていた。自分でチケットを250枚購入して、友だちに配ったりしていた。ブラジルには友だちが多いんだ」と必ずしも試合に専念できていなかったことを悔やむヴェウドゥムは「もちろん、タイトル再奪取を目標に戦っている。自宅の壁にはベルトが2本掛かっているが、もう1本欲しいんだ。ただ、自分にはもう余り時間がない。年内には再びベルトを腰に巻いていたいんだよ」と語り、タイトル戦線再浮上にやる気十分だ。
時間がないとの言葉通り、ヴェウドゥムは40歳にして昨年7月以来早くも4試合目に臨む。今回の対戦相手であるボルコフについては、「非常に危険な相手だ。他団体でチャンピオンにもなった実力者。リーチが長く、背が高い。打撃の技術が洗練されていて、リーチの生かし方も知っている。しかし、グラウンドの技術には欠けている。こちらはスマートに戦わなければならない」と分析、打撃に付き合わず、得意のグラウンドで勝負をしたい意向だ。
アレクサンドル・ボルコフ(左)は現在5連勝中のヘビー級タイトル戦線ダークホース的存在だ 【Zuffa LLC】
マヌワ、地元でのノックアウト劇再現を誓う
ただ、ワンパンチパワーの猛威で高いノックアウト率を誇るマヌワにとっては、この試合はキャリア17勝のうち、唯一の判定勝ちが記録されてしまった試合だった。
「試合内容では圧倒していたと思うが、前回はフィニッシュできなかったので、今回は燃えている。彼は前回とは別人のように進歩しているだろうが、こっちはもっと進化している。辛抱強く戦い、相手がミスをした瞬間、俺がワンパンチをめり込ませる。彼が試合終了のベルを聞くことはない」
ちょうど1年前にロンドンで開かれた「UFCファイトナイト」では、メインイベントでコーリー・アンダーソン(米国)と対戦し、第1ラウンドに強烈な左フックでノックアウト勝ちを収めたマヌワ。試合後には英国の人気ボクサー、デビッド・ヘイを挑発して喝采を浴びた。しかし、前回のヴォルカン・オーズデミア(スイス)戦を落とし(17年7月「UFC 214」)、タイトル挑戦のチャンスをあと一歩のところで逃してしまった。
今回、地元ファンの前で豪快に勝利し、再びタイトル戦線に浮上したいマヌワに対して、現在2連勝中で好調のブラホビッチも前回の屈辱を晴らそうと腕をぶしている。
注目のバンタム級超新星対決
12歳でサンボの練習を始めたというデュケノアは「15歳の頃、父が買ってくれたPRIDEのDVDを見てMMAファイターになることを決めた。ただ、フランスでは18歳にならないとMMAの試合に出てはいけない。だからそれまでの間はムエタイ、ボクシング、レスリング、ブラジリアン柔術の練習をして、18歳になる準備をしていたんだ」と少年時代を振り返る。デビュー直後にUFCからのオファーはあったものの、デュケノアはまず欧州で経験を積むことを選択し、4年間で14勝1敗1ノーコンテスト、英国のMMA団体「BAMMA」でバンタム級とフェザー級の2冠王を獲得した実績をひっさげて昨年、23歳でついにUFCデビューを果たした。コナー・マクレガー(アイルランド)以来の欧州出身の逸材とはやされている次世代の大物だ。しかしながら、前回「UFC 216」(17年10月)ではレスリングの大器、コーディ・ステーマン(米国)に判定負け、連勝記録も11で止まっている。
一方のウェアは17勝5敗の好戦績で昨年に31歳でUFCデビュー。しかし、ステーマン(17年7月「UFC 213」)、ショーン・オマリー(17年12月「TUFシーズン26フィナーレ」)に連敗、今回で3試合連続となる超新星との対戦でUFC初白星を狙う。
「もちろん結果には満足していないけど、UFCでやっていける手応えは得た」と語るウェアは「試合中にもう少し落ち着けるよう修正した。これまでも負けた後には、一層強くなって戻ってきた。連敗をしたことで、自分が何をしなければならないのか、よく分かったんだ。今回は100%の自信がある。今回は汚名返上の大チャンスだと思っている」と闘志を燃やしている。
ロンドンでのUFCイベントは今回がちょうど10回目を数える。うち7回が、今回の会場でもあるO2アリーナでの開催だ。ロンドンといえば、マイケル・ビスピン対秋山成勲(10年10月「UFC 120」)、ビスピン対アンデウソン・シウバ(16年2月「UFCファイトナイト・ロンドン」)などの名勝負が思い出される。MMA人気が高騰中の英国、スティービー・レイ、マーク・ゴッドビアー、ポール・クレイグ、ダニー・ロバーツらブリティッシュ・ファイターも大挙出陣する今回のイベントは、大歓声に後押しされるように繰り広げられる名勝負に酔いしれよう。
(文:高橋テツヤ)
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