二刀流・大谷の打撃データにも注目! スプリング・トレーニングリポート(3)
6日の試合では打球が飛ばず…
現地6日のダイヤモンドバックス戦では2打席連続空振り三振を喫した大谷 【Getty Images】
第2打席:空振り三振
第3打席:四球
3月6日(現地時間)に行われたダイヤモンドバックスとのオープン戦、「5番・DH」で出場したエンゼルスの大谷翔平は3打席無安打に終わった。
安打がなかったのはともかく、この球場で打球が1本も飛ばなかったのは惜しかった。なぜなら、スプリング・トレーニングのオープン戦で唯一Statcastのデータが収集できる球場、それがここ「ソルト・リバー・フィールズ」だからだ。
ダイヤモンドバックスとロッキーズがキャンプ地として使用するソルト・リバー・フィールズ(写真は5日のもの) 【Getty Images】
アリゾナを地元とするダイヤモンドバックスのキャンプ地のため、休日は大勢の人でにぎわう。4日はこの球場で平野佳寿の登板を観戦したが、相手が人気の高いカブスだったこともあり、芝生席が埋まるほどの盛況だった。
球場に設定されているトラキャブのカメラ。選手の動きなどを計測できる 【画像提供:データスタジアム】
Statcastとは、メジャーリーグで2015年から本格的に使われている最新技術で、投球や選手の動きのデータを半自動的に集めることができる。複数のシステムから成り立っており、ボールの動きは主に「トラックマン」というレーダーのシステムで捉え、野手や走者など人の動きは「トラキャブ」という画像解析のシステムで捉えている。
カクタス・リーグ(※アリゾナでのスプリング・トレーニングのオープン戦)では10球場を15チームで使っており、私はそのうち8球場に足を運んでいるが、トラックマンは訪れたすべての球場に設置されていた。バックネット後方のスタンド上部にある四角いレーダーは日本プロ野球でも多くの球場で確認することができる。
一方、トラキャブの設置を確認できた球場はソルト・リバー・フィールズだけだ。トラキャブはカメラを搭載したシステムで、上の写真のように、サッカーのJリーグで選手の走行距離などの測定に使われているものと同じだ。メジャーリーグでも、野手のポジショニングや走者の駆け抜けタイムなど、このシステムで選手の動きがデータ化されており、その一部は公式サイトなどを通じてファンに提供されている。
この球場はトラックマンとトラキャブをそろえているため、Statcastのデータが収集できているようだ。
【投球】
初速、収束
回転数
変化量
リリースポイント
体感球速
【打球】
打球速度
打球角度
本塁打飛距離
【走塁】
一塁到達タイム
第1リード
最高速度
【守備】
ポジショニング
打球反応時間
送球速度
(※MLB.comの指標紹介ページより抜粋)
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本塁打になるには球速と角度が重要
【画像提供:データスタジアム】
また、30度付近は150キロに届かない速度でもスタンドインする打球が存在していると分かる。本塁打になりやすい打球速度、角度を示したこのデータは、メジャーリーグに広がる「フライボール革命」の論拠として使われることも多い。
大谷はダイヤモンドバックス戦では打球を放たなかったが、同じくソルト・リバー・フィールズで行われた2月27日のロッキーズ戦ではデータが取れており、6回に放ったショートゴロが打球速度170.2キロ、打球角度−15度を記録していた。この打球速度は、この試合の打球で3番目に速いものだった。
打者として出場した1試合目を除いて、安打が出ていない大谷だが、フリー打撃での飛距離はマイク・トラウトやアルバート・プホルスのようなスーパースターに見劣りしない。個人的には6日の試合で大谷の打球を期待していたが、その楽しみは次の機会にとっておきたい。
シーズン中に、大谷はどのような打球速度を記録するのか。日本で投手・大谷が生み出す異次元の球速にワクワクしたように、打者・大谷の打球速度に注目することも、メジャーリーグの楽しみ方のひとつとなるだろう。
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