ロッテのキーマン・鈴木大地×加藤翔平 「去年と同じ姿は見せたくない!」

週刊ベースボールONLINE

加藤「番号は軽くなるけど責任は重くなる」

プライベートでも仲のいい鈴木(左)と加藤。今では家族ぐるみの付き合いを続ける 【写真:BBM】

 今季から背番号が「10」となった加藤は、自覚と責任感を強めている。三塁コンバートという変化を受け入れながら、変わらずリーダーとしてチームをけん引する鈴木。その姿から多くのものを学び、自らもチームを引っ張っていく覚悟だ。

鈴木:もちろん誰にとっても1年1年が勝負だけど、今年、翔平は背番号が「65」から「10」に変わったというのは大きいよね。僕も経験があるけど(2014年に「35」から「7」へ変更)、背番号が変わった年というのはまさに背負うものが大きくなる。

加藤:やっぱりいい番号をもらうということは責任も生まれると思います。番号は軽くなりますけど、責任は重くなる。今までは大地さんが野手をまとめたり、カクさん(角中勝也)がプレーで引っ張ってくれていましたけど、その2人が調子を落としたり、例えばケガでいなくなってしまったときにチームがどうなってしまうかと考えると、引っ張っていける選手がいない。それが去年のチームの成績にもつながっていると思います。

鈴木:自分の調子がいいときはいいんだけど、うまくいかないときにどうするかだよね。今、僕はチームの中心としてやっているつもりだけど、だからこそみんなが自分を見ていると思う。打てなくて落ち込んだり守備でミスをしたりしたときに、昔はそれを態度に出してしまったこともあったけど、今は頑張って抑え込めるようになってきて、それが普通になってきた。

加藤:僕も6年目になりますし、もう若手という年齢ではない。キャプテンマークはなくなりましたけど、もちろんチームをまとめているのは大地さんだし、井口さん(資仁監督)もそうおっしゃられていますけど、その中で大地さんをサポートする、自分がやらなければならないんだという思いをみんなが持っていけば、もっといいチームになる。だから、まずは僕がそういう意識をしっかり持ってやっていきたいと思います。

鈴木:立派になったなあ(笑)。でも結果を残すことがもちろん一番なんだけど、そういう意識を持てなければ本当のレギュラーにはなれない。現役時代の井口さんも、福浦(和也)さん、サブさん(サブロー)もそうだった。それが少しずつできているということは、翔平もレギュラーに近づけている証拠だと思うよ。

加藤:でも大地さんは切り替えが本当にうまいですよね。僕は打てない試合があると「明日は打てるだろうか」と心配になってしまうし、食事に誘ってもらっても明日のためにバットを振りたくなってしまう。

鈴木:それも大事なことだと思うよ。「結果が出ない、じゃあ練習しよう」となれるのはすごい。僕も切り替えが早いと言われるけど、打てなければ悔しいし、エラーやミスをすれば恥ずかしい。でもそれを押し殺して人に話しかけたり、食事に誘ったりする。試合は待ってくれないから。自分の気持ちが整っていないから試合開始時間を遅らせてください、というわけにはいかない。そこまでにどう気持ちを戻すかが大事だと思う。

加藤:大地さんはそうした行動によってチームをまとめ、引っ張ってくれています。僕はまず自分のプレーを全力でやる。レギュラーを取ったわけでもないですし、そういう意識は持ちながら、しっかり試合に出て、結果としてチームを引っ張れるようになれればと思います。

鈴木「厳しい練習だけど雰囲気がいい」

春季キャンプでは安田(写真後ろ)の“教育係”も担った鈴木。16年の平沢に続く同ポジションへの大物新人の加入に大きな刺激を受けている 【写真:BBM】

 井口新体制となり、2人もポジティブなチームの変化を肌で感じている。ホームのZOZOマリンで開催される東北楽天との開幕戦で、昨年とは変わった姿をファンに見せ、そして結果で期待に応えることを誓う。

鈴木:井口さんが監督になって体制は変わったけど、いい意味で井口さんは変わっていない。選手の延長として僕らも話ができるし、くだけた話もする。同時に、真剣にチームの方針についての話もしてくれるから、僕もしっかりそれをチームに伝えていかなければと思える。

加藤:テーマとしては走塁というのが一番大きいですよね。

鈴木:井口さんの「トライしてミスすることではなく、トライしないことを責めるよ」というのはいい言葉だよね。すごく勇気が出る。

加藤:キャンプからどんどん走っていますもんね。たくさんアウトになっていますけど、意識がみんな前向きになったし、ミスをすることが怖くなくなりました。

鈴木:逆にトライできなかったときに「うわ!?」って思えるようになってきたのは、意識が変わってきたということなんだろうね。でも翔平は本当に走れる(盗塁できる)のか? 足が速いだけだろう(笑)。足が速いのは認めるけどさ。

加藤:そうですね……。昨年までは企図数自体が少なかったし、信頼感がないから盗塁のサインを出してもらえなかったと思うので。その信頼感を得るためには、どんどん走って、しっかり成功させていくしか方法はない。まあ、大地さんは足がないんで、しょうがないですけど(笑)。

鈴木:いや、そうなんだけど! 確かに足は遅いけど。でも足の遅いやつが走れないより、足が速いのに走れないほうが罪が重いから!

加藤:だからやっぱり信頼感を得ないと、盗塁のサインも出してもらえない。今、チームでその信頼感があるのはオギさん(荻野貴司)くらいですから。

鈴木:走塁もそうだけど、やっぱり体制が変わると雰囲気も変わるよね。ノック一つとってもトリさん(鳥越裕介ヘッド兼内野守備走塁コーチ)は「一つのプレーに責任を持とう」ということを言ってくれる。

加藤:プレーを流すということが全然なくなりましたよね。

鈴木:一つのプレーを最後までやり切る。初歩的なことなんだけど、去年ああやって負けた僕らにとっては、そういう言葉が胸にしみる。もちろん厳しい練習なんだけど、そういう雰囲気がいいなと感じる。

加藤:重盗防止や投内連係とかでも、外野手もただランナー役というのではなく、しっかりランナーの練習ですし、本気でセーフになろうとする。一つひとつのプレーにすごく重みが出てきたと思います。

鈴木:僕らもファンの方に去年と同じ姿は見せたくないし、ファンも見たくないと思う。ただ僕らがここでどうこう言っても、公式戦で変わった姿を見せないと。今年は千葉で開幕を迎えられるから、そこからヨーイドンでね。

加藤:去年の開幕戦はヤフオクドームで福岡ソフトバンクにやられて、そのままズルズル行ってしまったので。楽天との開幕戦は則本(昂大)が来るという記事も出ているので、まずそこでどう勝っていけるかですね。

加藤「カクさんに勝つくらいの気持ちで」

鈴木:1軍に残ってくれよ(笑)。

加藤:そこからですか(笑)。でも、そういうことですよね。外野陣は一芸がすごい人が多い中で、自分がほかの人より何ができるのかをちゃんと考えて、結果を出し続けていくしかない。でも、大地さんもサードには安田がいますよ(笑)。

鈴木:もちろん負けちゃいけないという競争意識はあるけど、同時にノック一つとっても、「違いを見せてやる!」と思いながらやっているよ。ただバッティングはね……違いを見せるどころか、ちょっとやられている気がするんだけど(笑)。

加藤:本当にすごい(笑)。

鈴木:でも、自分がサードにポジションが変わったタイミングで、そこにああいう選手が入ってくるっていうのは刺激が大きいし、互いに成長できると思うからね。

加藤:でも2年前の大河のときといい、大地さんは本当に大変だと思います。自分のポジションに注目されるルーキーが入ってきて。いつもメディアがついてくる。

鈴木:もう慣れたよ。大河のときのほうがすごかったし。人のことに答え続けるのはちょっときついけど。「どうですか、平沢選手は」「どうですか、安田選手は」って(笑)。でも、あの年は大河の存在があったから頑張れたし、今もヤスがいるから頑張れている。最後は蹴散らすけどね(笑)。

加藤:僕も外野の3枠に「滑り込む」という気持ちではダメだと思っています。外野で一番の存在はカクさんなので、カクさんに勝つくらいの気持ちで行きたいですね。

取材・構成=杉浦多夢 写真=上野弘明(インタビュー)、高塩隆

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