パラスノボ・成田緑夢が踏み出す一歩 平昌で目指すは2種目での金メダル

荒木美晴

アルペンブーツで滑りが進化

レギュラースタンスで滑る成田の場合、バックサイドの滑走は課題のひとつ。それを解決したのがアルペン用の硬いスキーブーツを履くことだった 【写真は共同】

 初めてのパラリンピックに向けて、成田は一つの課題と向き合っていた。

 スノーボードは、つま先側のエッジを使うフロントサイドのターンと、かかと側のエッジを使うバックサイドのターンを交互に行って滑る。軸足の左脚を前にして滑るレギュラースタンスの成田の場合、左足首が動かないため、とくにかかとに加重するのが難しく、バックサイドの滑走は課題のひとつだった。

 左手でウエアのパンツをつかんだり、右手でバランスを取ったりして滑っていたが、「一番しっくりきた」というのが、ブーツの変更だった。左足にこれまでのスノーボード用ではなく、アルペン用の硬いスキーブーツを履いてみるというものだ。

 きっかけは、同じ平昌パラ代表の小栗大地(LL1/三進化学工業)が合宿でアルペンブーツを使用しているのを見て、借りて滑ってみると、足首が固定され、スピードと安定感が増すことを実感したからだという。その後の成績は冒頭に記した通りで、「ヒールサイド(バックサイド)だけでなく、トゥサイド(フロントサイド)にも効果がある。手応えを感じる」と成田は話す。

 アルペンスキー競技の1種目として、スノーボードクロスが実施されたソチパラリンピック(14年)では、男子LL2でアメリカ勢が表彰台を独占した。世界的に競技レベルが向上し、満を持して正式競技となった平昌大会では混戦が予想され、成田はソチで金メダルを獲得したエヴァン・ストロング(米国)をはじめ、17年世界選手権で優勝し、今季W杯でも好調のマティ・スール・ハマリ(フィンランド)ら強力なライバルたちとしのぎを削ることになる。

「挑戦の気持ちを忘れず戦いたい」と抱負を語る成田。彼が将来の夢に掲げる「パラリンピック、オリンピックの両大会出場」に向けて、まずは平昌で最初の一歩を踏み出す。

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著者プロフィール

1998年長野パラリンピックで観戦したアイススレッジホッケーの迫力に「ズキュン!」と心を打ち抜かれ、追っかけをスタート。以来、障害者スポーツ全般の魅力に取り付かれ、国内外の大会を取材している。日本における障スポ競技の普及を願いつつマイペースに活動中

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