4年後は“みんなが知ってる”山本泰成に 16歳、インパクト残した初の五輪

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グローブが破れるほどの気合い、だからこそ楽しめた

平昌で初めておろしたグローブがもうボロボロになるくらいの気合で臨んだ 【写真:ロイター/アフロ】

 プレッシャーとは無縁の性格にも思えるが、それでも試合前日は緊張から父親と1時間ほど電話したという。それでも収まらず、緊張のピークは「(試合当日の)今朝ですかね」と山本。

「でも会場に来た瞬間にもう、『俺、五輪に出てるんだ!』ってなって、逆にむしろ今日は楽しめたので良かったです」

 山本がこの日つけていたミトンのグローブは、左右とも外側の生地がぼろぼろに破れ、内側の生地が丸見えになっていた。

「平昌での公式練習で初めておろしたグローブなんです。グラブした後にエッジをつかんで板をシュッと持ち上げる動きがあるんですけど、そこで思いっきり気合いを入れすぎたり、あとクラッシュとかで雪触ったらビリビリって」

 試合後、いや試合中からあふれていた笑顔は、緊張や気合いの裏返しだったのかもしれない。グローブが破れるほどの気合いで臨んだからこそ、誰よりも楽しめた。思い出の品となったであろうグローブを大事そうに触れると、「初めてここまでいったんで、めっちゃおもしろいっすね(笑)」と語った。

滑りで有名人になるくらいまで

4年後には公言どおり「みんなが知ってる山本」に成長してリベンジだ 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 楽しみながらも、滑りに対しては冷静に分析し反省する。

「キッカーは自分のなかで満足できる演技ができましたが、うまくジブがハマりませんでした。芯をとらえて真ん中で乗ることができず雑になってしまい、そこが反省です。公式練習中ではできたんですけど、いざ本番になったら外しちゃって」

 一瞬、悔しそうな表情を見せた山本だが、気持ちはすぐに4年後の北京五輪へ向けている。

「4年後にはもっとレベルアップして、みんなが知ってる山本になって、めっちゃ滑りで有名人になるくらいまでレベルアップしていると思います。そうして次の五輪でリベンジしたいなっていう気持ちですね」

 競技者としてより高みへ上ることができれば、大会もさらに楽しめるようになるだろう。そうなれば、彼のテンションはどこまで上がるのか……。4年後のスキースロープスタイル男子は要注目だ。

(取材・文:藤田大豪/スポーツナビ)

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