バイアスロンの日本代表はなぜ自衛隊? “精鋭”が挑む平昌五輪、その特殊な環境
国内の競技環境の整備、若手発掘は試行錯誤中
3度めの五輪出場となる立崎芙由子(右)。夫の幹人とそろって平昌五輪に出場する 【写真は共同】
それでも、北海道タレントアスリート発掘・育成事業(北海道文化・スポーツ局オリンピック・パラリンピック連携室に事務局を置き、カーリング、スケルトン、バイアスロンに特化し10年間の育成期間で選手を発掘・育成する事業)を通して、フィンランド合宿など海外での練習も経験している小足さくら(名寄産業高校1年)がIBU(国際バイアスロン連合)ジュニア世界選手権(2月26日〜、エストニア)に出場するなど若い有望選手もおり、連盟はジュニアオリンピックへの選手派遣に向けて動くなど、選手の育成・強化環境の改善に動いている。
雪山の多い欧州などでは10代からバイアスロンを始める例が少なくないが、日本では競技を普及させようと思っても、遊戯銃用のBB弾や電子銃を用いて子どもたちに関心を持ってもらおうとするのが精いっぱいで(16年の岩手冬季国体ではデモンストレーションスポーツとしてミニバイアスロンを実施)、競技を始める環境を思うように整えられない事情がある。
バイアスロン界、悲願のメダルなるか
秋田県米内沢高校でクロスカントリーの選手として活躍。自衛隊の冬戦教にスカウトされて入隊した。マタギ(伝統的狩猟)をしていた祖父の血を引く才能で、射撃にも秀でており、10年のバンクーバー大会、14年のソチ大会に続き、今大会が3度目の五輪出場となる。15年5月に男子の代表選手である立崎幹人と結婚し、今大会には夫婦で出場することになった。立崎芙や古谷沙理はクロスカントリーの力が強く、期待がかかる。
競技は、スキー走行で心拍数が上がった状況で、いかに早く正確に射撃を行うかという点で、強靭な体力と精神力が求められる。競技の発展を思えば、民間にも選手を育成する機能がほしいところだが、現状では日本は自衛隊体育学校の生徒が力を示す場となっている。五輪における日本勢の過去最高成績は、1998年長野大会で高橋涼子の6位(15キロ個人)。欧州勢が強く、厳しい戦いが予想されるが、入賞あるいは、初の五輪メダル獲得で「バイアスロンって何だ?」と話題に上がることを、マイナー競技の難しさに直面している国内の競技関係者は願っている。