2人の“天才”が経験した五輪の苦楽 【対談】久保英恵×安藤美姫 前編

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心残りは開会式に出られなかったこと

開閉会式に両方参加するアイスホッケーと違い、フィギュアの選手は日程の関係上、開会式に出ることができない。安藤さん(右)はそれが心残りだと語る 【坂本清】

――五輪に初めて出場したときは、どう感じましたか?

久保 試合自体はそこまで特別視する感じではなかったですね。「五輪だからすごい」というのはなくて……。やはり一番感じたのは選手村に入ったときや、開会式に出たときに「これから五輪が始まるんだ」「五輪に私は来ているんだ、出場できているんだ」ということを思いました。

安藤 私は、1回目の五輪はとにかく人目を避けることしか考えていなかったので、全然覚えていないんです。選手村も、場所は分かってもどの建物か全く覚えていなくて、何をしていたのかさえ記憶にないです。それくらいきつかった。逆にバンクーバー五輪はすごく楽しかったです。気分転換にショッピングをしたり、クレープを食べたり。選手村にバーみたいなものもあって、その中には大きなスクリーンがあったので、夜はそこでアイスホッケーを観戦していました。カナダなので、すごく盛り上がっていましたね。ただ、心残りは開会式に出られなかったことです。今お話を聞いていて「いいなぁ」と思いました。

久保 私たちは開会式も閉会式も出るんですよ。

安藤 女子フィギュアは最後の方の競技だから開会式に出られないんです。

久保 そうですよね。開会式はやはり出たいですか?

安藤 出たいですよ〜。

久保 皆さん、閉会式より開会式の方が出たいと言いますよね。

安藤 閉会式は出られるんですけど、開会式のときはまだ現地にも入っていないです。いつもテレビの前でじーっと見てる(笑)。「あぁ、いいなぁ」という感じで。

久保 開会式で並んで入場するときは、もう鳥肌モノですよ。

安藤 絶対に盛り上がっていますよね。

久保 フィギュアの方は直前に入ってくるのですか?

安藤 バラバラですね。個人個人でトップになると団体では動かないんです。ジュニアの頃は「日本チーム」という感じで団体で行動していたんですけれど、シニアになってからは私の拠点が米国で、他の選手は日本だったりしたので。

鍵は初戦のスウェーデン戦

鍵になるのは初戦のスウェーデン戦。ここで勝てれば、メダル獲得に向けて弾みがつく 【写真:アフロ】

――久保選手は平昌五輪での目標や競技のアピールを、安藤さんは平昌がある江原道の観光広報大使になられたということで、その立場から注目しているポイントなどをお願いします。

久保 ソチ五輪では全敗と本当に結果を残せなかったので、平昌五輪では出場するだけではなく結果にこだわって、チームの目標であるメダル獲得を目指して頑張っていきたいと思っています。ソチ五輪のときとは違って、本当にメダルを目指しているチームなので、やっぱり予選で勝たなければいけないし、そういう意味では初戦が大事になってきます。そこで勝ってリズムを作っていきたいので、初戦のスウェーデン戦はすごく鍵になると思っています。

安藤 先日、現地に行ってきました。(氷上の競技が行われる)江陵の魅力としては、まず暖かいですね。カフェ通りがあって、コーヒーショップが海辺に並んでいました。

久保 え、行きたい!

安藤 ですよね。しかもインスタ映え、ツイッター映えするベンチなんかも海辺にあったりします。競技以外のところでもすごく魅力ある街だったので、五輪の空気を味わいながら、そういったロマンにも酔いしれる素敵な場所です。山の方は冬のソナタの撮影地ですね。ファンの方は必見です。平昌は立地もいいですし、日本からも近い。東京五輪もありますし、その前に冬の五輪の空気感を味わえればダブルでおいしいと言ったら変ですけど、五輪はそんなに行ける機会もないですし、競技を見なくても会場の雰囲気だったり、空気を味わいに行くだけでもいいと思います。とにかく現地に足を運んで、選手や関係者、いろいろな国の人も来ると思うので、五輪で世界はつながるじゃないですけど、スポーツで世界をひとつにできたらいいなと思います。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

<後編に続く>

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