PSG戦に今季の全てを懸けて戦うレアル CL敗退が決まればジダンの処遇は明白に

モチベーション低下がプレー内容にも影響

ジダンには選手たちのモチベーションを高めるだけでなく、プレー内容でも解決策を見いだすことが求められている 【Getty Images】

 レアル・マドリーの不調を分析する上で重要なのは、それがいつ始まり、いつ終わるのかという2点だ。

 不調の始まりについては、セルヒオ・ラモスやダニ・カルバハル、ギャレス・ベイル、カリム・ベンゼマらの負傷離脱が相次いだ開幕当初の不安定な状況が関係していたと考えられる。さらに当時はクリスティアーノ・ロナウドがシーズン終了後に国外へ移籍するとの情報が彼の周辺から発せられ、そのことがチームメートに悪影響をもたらした可能性もあった。またクラブW杯から戻った時点で、もはや差が離れすぎてしまったバルセロナに追いつける可能性はないと選手たちが諦めてしまったことも考えられる。

 常に全タイトルを目指すことが求められるレアル・マドリーにとって、CL以外の目標を失った状態でシーズン後半を戦い抜くのは難しいことだ。とはいえ彼らに3季連続のCL制覇を実現できるだけのポテンシャルがあることも事実である。

 これまでジダンは我の強いスター選手たちをうまくまとめ上げることで結果を出してきた。だが2月14日にマドリーで、3月6日にパリのパルク・デ・プランスで行われる2試合まで限られた時間しかない中、指揮官は選手たちのモチベーションを高めるだけでなく、プレー内容においても解決策を見いだすことが求められている。

パリとの決戦はすぐそこまで

 対するパリ・サンジェルマンも国内リーグでは首位を独走しているものの、ベストの状態にあるわけではない。負傷離脱したキリアン・エムバペはマドリーでのファーストレグに間に合うかどうか分からない。早くもパリでの生活に居心地の悪さを感じはじめたというネイマールは、クラブに退団を申し出るだけでなく、他でもないレアル・マドリーへ移籍する可能性が取りざたされている。

 もちろんパリ・サンジェルマンが昨季にカンプノウで歴史に残る大逆転劇を演じた後、悲願のCL初制覇によってそのイメージを一新しようと手を尽くしていることは事実だ。

 いずれにせよ、国内のタイトル獲得も視野に入れているパリ・サンジェルマンとは違い、レアル・マドリーには他に目標が残されていない。

 レアル・マドリーのCL敗退が決まれば、国内メディアは来夏の補強と放出リストの話題で持ちきりになるだろう。その際にジダンの処遇がどうなるかは、言うまでもない。

 レアル・マドリーが今季の全てを懸けて戦うCLの再開まで、2週間を切った。物語の結末は、もうすぐ分かる。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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