元西武・木村昇吾がクリケットに転身 NPB所属の選手で史上初の挑戦

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新たなチャレンジに感謝

プロ野球選手から史上初となるクリケットへの転身を目指す木村省吾。NPB時代は横浜(現横浜DeNA)、広島、埼玉西武の3球団で15年間プレーした 【CoCoKARAnext】

 埼玉西武を2017年限りで退団した木村昇吾内野手(37歳)がクリケットで海外プロリーグへの挑戦を目指すことが明らかになった。昨年11月に12球団合同トライアウトを受験したが、NPB球団から獲得オファーが来なかった。関係者から身体能力の高さを買われて勧められたクリケットへの転身を決意。「プロ野球で15年間やってきてまた新たなチャレンジができることに感謝している。クリケットは難しいけど面白い。インドのトップリーグで活躍できるように突き詰めていきたい」と誓った。

 クリケットは英国古来の競技。11人でプレーする。試合はグラウンド中央付近に2つのウィケット(三脚門)を向かい合わせた形で行われ、投手は打ちづらさを考えてワンバウンドで投げることが多い。打者は打った後、反対側のウィケットに待機するもう1人のパートナーとそれぞれ反対側のウィケットへ走る。両打者が到達すれば1点。野手がその前に返球してウィケットを倒せばアウトになる。ファウルはなく、打球が境界線(64メートル前後)を越えれば4点。ノーバウンドで超えれば6点獲得できる。球は非常に硬いが野手は素手で捕らなければいけない。打者と捕手はレガースを用いる。競技人口はサッカーに次いで世界第2位。インド、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランドなどで絶大な人気を誇る。トップ選手の年収は30億を超えるという。

 驚くのは試合時間の長さだ。W杯で開催されるワンデー形式が主流だが、5日間かけて行われるテストマッチも根強い人気を持つ。打者は10アウトまたは投手の規定投球数(試合方式で異なる)を超えると交代だが、ウィケットを倒されなければ何回空振りしてもアウトにならない。また、打っても間に合わない打球と判断した場合は走らずに打ち直せる。技術、頭脳に加えて集中力も要求される競技だ。

元日本代表が活躍に太鼓判

ワンバウンドを打つという野球にはないプレーに戸惑う場面もあったが、野球で慣らした高いミート力を発揮して最終的には器用にはじき返した 【CoCoKARAnext】

 木村は昨年11月末から栃木県佐野市のクリケット競技施設と都内のトレーニングジムを往復する日々を送る。年明けの打撃練習ではサク越えを連発。野球の習性で体に当たるワンバウンドを見逃して思わず天を仰いだが、3時間後にはミート力の高さで体に当たりそうな投球を器用にはじき返していた。守備で素手の捕球に「痛い!」と苦笑いで叫ぶ場面もあったが、広い守備範囲と強肩を披露した。練習をサポートする元日本代表の上原良崇さんは「すべての面で能力が突き抜けて高い。日本代表にも当然入れるし、十分活躍できると思います」と太鼓判を押す。

 30年以上続けた野球からクリケットに対応しなければいけない。「バットが平板状で重さも1.2キロぐらい。野球より300グラム以上重い。芯の位置も野球より打者側に近いしグリップの太さも違う。振り込むことが大事。アジャストできると思う」と分析。「攻守交替が1回しかなく、短い試合形式でも1時間以上守らなければいけない。すごいしんどいと思う。実戦が一番の練習になる」と待ち受けている壁や試練を楽しんでいるようにも見える。クリケット普及の一役を担い、NPBでプレーした選手で初の挑戦者としての責任感もある。

「野球をやっていた木村昇吾でクリケットのオファーをいただいた。野球に感謝してもしきれない。野球選手は違うんだなという活躍をすれば、プロだけでなくアマチュアで野球を断念した選手も目指せる場所になると思う」

 木村の大きな挑戦が始まる。
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著者プロフィール

アスリートと一流仕事人に学ぶココロとカラダを整えるマガジン。2017年6月、雑誌・WEB版共に創刊。日々快適に、各々が目指す結果に向けてサポートするマガジンとして、アスリートのみならず、多くの人の心身のコンディショニングの役に立つ媒体を目指している。「こうしたら痩せますよ」「こうしたら健康になりますよ」というような時代とともに変わる健康や医学の理論は紹介せず、アスリートや各業界で成功している人の事例、メソッド、オピニオン、ライフスタイル等を紹介していくスタンスを貫く

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