- 杉山友輝
- 2018年1月15日(月) 11:30
ダカールラリーも前半終了

「ラ・パスの休日」
何のことだかよくわからないけれど、とても甘美な響きの言葉だと思いませんか? 「ローマの休日」をオマージュしているのは言うまでもありません。実は「ラ・パス」と言うのは、ボリビアの首都の名前なのです。
ということで、『J SPORTS』ダカールラリー担当者プロデューサー・スギPこと杉山友輝です。私は現在、世界一過酷なラリーと称される「ダカールラリー2018 ペルー〜ボリビア〜アルゼンチン」の取材中で、ラ・パスにいます。
ボリビアもラ・パスもご存知の方は少ないかと思いますので、まずは一般的な情報から。南米の真ん中にあるボリビア、正式国名はボリビア多民族国。人口約1082万人でアンデス山脈の奥地にあります。死ぬまでに見たい絶景として有名な「ウユニ塩湖」があり、街ゆく人々の顔や民族衣装などとても「南米らしい」国です。

そしてその首都がラ・パス。でも、ただの首都ではありません。何と標高3640メートル、世界最高所にある首都なのです。富士山山頂よりも少し低いところに、サンフランシスコのような風景の大都市があるという不思議な場所です。
じゃあ、何で「ラ・パスの休日」かと言うと、ダカールラリーは約2週間に渡って開催されるため、真ん中に「休息日」と呼ばれる休日があり、その場所が「ラ・パス」だからなのです。
でも休日を取れるのは選手のみで、メカニックやチーム関係者はマシンの修理や後半戦の準備に終われます。ちなみに、私スギPもチーム取材をしたり、会社の事務仕事をしたりと、結構バタバタとしています。
死の危険性もある高山病の恐怖
とはいえ、こんなに変わっていて魅力的な街はありませんのでキャンプ地を出て、ラ・パスの街へボリビア美人を探しに出発……ではなくて、「ラ・パスの休日」を満喫してきたいと思います。
早速鼻の下を伸ばして、フガフガいいながら美人を探したいところですが、それは大変危険な行為。ここラ・パスの標高では、急な動きは高山病の危険を高めます。
死の危険性もある高山病……。実際に17年大会もラ・パスが休息日だったのですが、同行の大野晴嗣(はるつぐ)カメラマンは重篤な高山病にかかり、現地のアル・イリコ病院に緊急入院。3日間入院し、数百万円の医療費が請求されたのです。従って、ここラ・パスではとにかくゆっくり焦らず行動して高山病に注意が重要なんです。
ラ・パスの街はすり鉢状になっています。すり鉢の底部には高層ビルや官庁街、おしゃれなショップやレストランが多くあります。それらにアクセスしやすい低い場所には富裕層が高級住宅を構え、反対に高い場所に行くほど、所得の低い方々が簡素な家を建てて暮らしています。貧富の差が、とてもはっきりしている街です。

物価は日本より少し安いくらいで、缶ビールが1本100円くらいです。電車がないため、市民の足は乗り合いのタクシーのほか、何とロープウエー。都市で使用されるロープウエーとしては、世界で最も高いところにあり、長さも最長を誇っています。
今回は事前に低酸素室でトレーニングしたり、毎日クエン酸ドリンクを飲んだり、大好きなお酒を高地に入ってからは控えたりと、努力を重ねた大野カメラマンはとても健康。呼吸、ゆっくり行動、節酒を徹底し、ほとんどラ・パスの病院で過ごした昨年とは打って変わって、精力的に撮影しています。