総勢5000人のキャンプ地が大移動 ダカールラリー2018の裏側

杉山友輝

6日に開幕!現在ペルーを通過中

キャンプ地を少し高いところから撮影。各チーム所在をはっきりさせるためにのぼり旗を目印にします 【写真:杉山友輝】

 第40回目を迎えるダカールラリーは、現地時間1月6日にペルーのリマをスタートし、現在大会は4日目の競技を開催中。バイク、四輪、トラックなどを合わせて、およそ400台の競技車両が、序盤のヤマ場である砂丘のステージで戦いを繰り広げています。

 ここ数年のダカールラリーでは、類を見ないほど最初から砂漠が多く、選手たちは砂ホコリ、暑さ、コースの難しさに悩まされリタイアする選手も続出。大会関係者によると、20台以上の参加者が砂漠で夜を明かしたとのことです。「ダカールラリー=砂漠」のイメージが強いので、久々に「ダカールラリー」らしい大会となっています。

毎日キャンプ地が構築されては解体

現地の方はコースがないのにどこからともなく入ってきてラリーを一番いい場所で観戦しています 【写真:杉山友輝】

 さて、私、杉山(通称・スギP)は、『J SPORTS』での放送用映像撮影のため、選手たちに帯同密着取材中。そこで今回はダカールラリーのキャンプ地について、ご紹介したいと思います。

 F1などのサーキットレースであれば同じコースをグルグル走っているので、連日の開催でも整備場所、寝る場所、ご飯を食べる場所は、ほぼ毎日同じです。ところがダカールラリーでは、基本的に毎日毎日スタート地と目的地が違います(同じキャンプ地を2日間使用することもあります)。

 つまり、毎日キャンプ地が構築されては、解体されます。砂漠の中に、突如大きな街ができて、賑わいを見せたら翌日には解体。まさに「砂上の楼閣」を目の当たりにする毎日です。

 ダカールラリーの運営に当たっては、連日1万人近くが関係します。選手やチームスタッフはもちろん、主催者運営スタッフ、ラリーコースのタイム計測スタッフなど数えるとキリがないほど。そのうち「通い」の現地の方が半分、残りのおよそ5000人がキャンプ地で寝泊まりします。

キャンプ地が軍事施設だとラッキー!?

夜も発電機が回り、修理の音がキャンプ地にとどろきます 【写真:杉山友輝】

 キャンプ地の多くは砂漠の中にぽつん……のこともあれば、サーキット、大規模なスポーツ施設、軍事施設の場合もあります。

 ちなみに、テント泊が続く私にとって「ラッキー」と思わずにいられないキャンプ地は「軍事施設」です。理由としては、
(1)建屋が多いので、施設内の廊下などにテントが建てられるので、雨風夜露をしのげる(高地だと夜は氷点下になります)
(2)温かいシャワーが出る確率が高い(いつもは水シャワーのため、温かいシャワーは生き返ります)
(3)施設内の警備が厳しいので、盗難の心配が少ない(キャンプ地はバラ線で立ち入れないようにしますが、乗り越えてくる強者もいます)

砂ホコリで目が痛いキャンプ地

もう目が開けられないほどの砂ホコリが舞うマルコナのキャンプ地 【写真:杉山友輝】

 と、そんな「ぬるい」キャンプ地をご紹介しても、全く面白くも何ともないので、今回のダカールラリーでも指折りの「激アツ」なキャンプ地、サン・ファン・デ・マルコナ(以下マルコナ)をリポートします。

(1)砂、砂、砂! 風で飛んでくる砂が痛い!
 ペルーの首都・リマから南に500キロ、地上絵で有名なナスカが近い、マルコナ。海のそばまで砂が迫り、キャンプ地は砂漠の中にあります。ここの特徴は、何と言っても「砂ホコリ」です。強風によって巻き上げられた砂、車が巻き上げた砂、離発着が繰り返されるヘリコプターによる砂、とにかく砂でけむっていない時はありません。

 カメラ、パソコンなどの電子機器は、使わない時には密封ビニール袋に入れなくては、すぐに故障してしまうほどです。現在プレスセンターでこの文章を打っているスギPのパソコンも、かならザラザラしてきました。最後まで持つかな、このパソコン……。
(2)チーム&マシンエリア
 キャンプ地はしっかりと区画整理されていて、例えば四輪部門のトヨタ車体はここ、二輪部門のモンスターエナジー・ホンダチームはここというように、ゾーニングされています。ライバル同士が並ばないように、ある程度メーカー単位で大きく分かれています。

 トヨタ車体の角谷裕司監督の大切な仕事の一つが、少しでも早くキャンプ地について、確保されている場所にロープを張りめぐらせること。荒くれ者の多いチーム(某国のトラックチームなど)は、平気で他チームの敷地に侵入し、既成事実化してしまうので注意が必要なのです。

 トップ選手は帯同して動いているキャンピングカーに就寝します。しかしほとんどの選手・スタッフ・関係者はテント泊となります。私スギPはというと、夜中になるとガラ空きになるプレスセンターにテントを張ります。砂嵐を少しだけしのげますし、夜中に急な天候の変化があっても、これで安心です。

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著者プロフィール

J SPORTS プロデューサー。明治大卒業後、雑誌社勤務を経て、テレビマンユニオン「世界ウルルン滞在記」のディレクターを務め、2005年からJ SPORTSへ。新規番組立ち上げや国際大会などの映像制作を担当し、現在の担当競技は卓球・ゴルフ・モータースポーツなど。

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