ダカールラリーに挑むサムライたち ホンダ、トヨタ車体、日野自動車の情熱

杉山友輝

日野チームスガワラ(トラック排気量10リットル未満クラス)

重さ100キロのタイヤを交換する日野チームスガワラのメカニックたち 【(c)日野自動車】

 トラッククラスに日野レンジャー2台で参戦し、連続27回完走、排気量10リットル未満クラス9連覇の記録に挑む日野チームスガワラ。「ダカールの鉄人」と称される76歳の菅原義正と、次男の照仁がハンドルを握るチームだ。ちなみに義正は、ギネス記録となるダカールラリー連続35回出場をかけての参戦となる。

 トラッククラスの総合順位で上位に入るのは、排気量が10リットルを超えるロシアやスペインの大型マシン。そんな中にあっては小型のレンジャーで、菅原たちは「知恵と工夫」を最大限に活用して、クラス優勝や総合でも上位に入っている。チームのモットーである「小よく大を制す」を、実現しているのだ。

 日野チームスガワラの特徴であり強さの要因は、そのチームワーク。ドライバー、ナビゲーター、メカニックと皆がダカールに出場することを誇りに思い動いている。したがって、その無駄のない立ち振る舞いは、他のチームから視察がくるほど。メカニックが整備する様子を、じーっと凝視する他チームのメカニックを何度も目撃した。

 このチームのメカニックは、全国の販売会社から選抜試験で選ばれたエリート中のエリート。技術的にも人間的にも秀でているものだけが、ダカールラリーに参加することができるのだ。

 ダカールに参戦するマシンは四輪でも二輪でも、ほとんどが簡易テントを立ててその下で作業をする。しかし、トラックがカバーできるようなテントはないため、「露天」での整備だ。豪雨に見舞われることの多い昨今のダカール。日野チームスガワラのメカニックたちは、土砂降りの中ズブ濡れになりながら整備をする。泥んこになりながら、点検と整備を繰り返す。日本ではまず見られない光景だし、メカニックもそのような状況で整備したことはないだろう。しかし困難な状況だからこそ、得られるものや見えてくるものがあるはずだ。

 菅原義正はこう語る。

「メカさんやスタッフには、素晴らしい新しい体験をしてほしいんです。ダカールの現場は厳しいですよ。毎日毎日マシンも天気も人間も、トラブルばかり。でもそれを乗り越えて、人間力が向上していく瞬間、それを知った人間は大きくなりますよ」

 実際、かつてダカールに参加したメカニックの方で、取締役になった方もいるそうだ

 18年のダカールには、群馬日野、横浜日野、富山日野、神戸日野から合計4名のメカニックがダカールに挑む。どんな困難が彼らを、そしてチームを向上させてくれるのだろうか?

(文中敬称略)
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著者プロフィール

J SPORTS プロデューサー。明治大卒業後、雑誌社勤務を経て、テレビマンユニオン「世界ウルルン滞在記」のディレクターを務め、2005年からJ SPORTSへ。新規番組立ち上げや国際大会などの映像制作を担当し、現在の担当競技は卓球・ゴルフ・モータースポーツなど。

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