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駅伝を彩る、ランナー達の“シューズ”
箱根駅伝に向けた大手3社の特徴を紹介
今回の箱根駅伝は「シューズ」にも注目してみたい
今回の箱根駅伝は「シューズ」にも注目してみたい【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 陸上競技の長距離はロードのシーズン真っただ中。マラソン、駅伝とテレビ番組として全国に放送されている。その中で特に注目度が高いのが新年1月2日、3日に開催される「東京箱根間往復大学駅伝競走」(以下、箱根駅伝)。“年始の風物詩”では関東の学生ランナーたちが、各校のプライドをかけ箱根路を疾走する。


 そんな学生たちの走りに注目が高まる中、今シーズンは彼らの足元にも目を向けたい。マラソンシューズの開発に関するテレビドラマも人気を博したが、あらためて今、“シューズ”にスポットが当てられている。


 今回は大手メーカー3社の担当者に話を聞き、その特徴をまとめた。箱根駅伝を走る選手たちの足元を彩るのはどんなシューズだろうか。

厚底が特徴のナイキ 固定観念を打ち破るシューズ

厚底で話題のナイキ社シューズを履く東洋大の選手たち(左はモハメド・ファラー)
厚底で話題のナイキ社シューズを履く東洋大の選手たち(左はモハメド・ファラー)【写真は共同】

 今季のロードシーズンの中で最も話題になっているのがナイキのマラソンシューズ。12月3日に開催された福岡国際マラソンでは、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が2時間7分19秒の日本歴代5位の快走を見せたが、その足元には「ナイキ」のシューズが履かれていた。


 今季のシリーズは「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」「ナイキ ズーム フライ」「ナイキ エア ズーム ペガサス 34」が主力。その特徴的な部分は何といっても“厚底”ということだ。「キミの常識をうちやぶれ、厚さは速さだ」をコンセプトに、「厚底ではスピードが出ない」という固定概念(ステレオタイプ)を崩していることに注目が集まっている。


 エリート選手のためのマラソンシューズとしてメインになる「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」は、今年5月に同社が挑戦した「ブレーキング2」(マラソンの2時間切りプロジェクト)のために開発されたシューズを一般向けにしたもの。

 元々は「ナイキ ズーム ストリーク 6」というそれまでの最速シューズから、3%の運動効率を上げることで「ブレーキング2」達成を目指すという目的で開発されたが、でき上がったシューズは、ランニング効率が平均で4%改善された。


 シューズ開発の中で求めたのは「クッショニング、推進力、軽量」の実現。中でもクッショニングは、ほかの2つの要素と相反する部分になるが、独自に開発された軽量なミッドソール素材とカーボンプレートを足の裏全面に入れることで、軽量性と推進力(≒反発力)を手に入れている。


 このシューズを履いてハーフマラソン日本記録を更新した設楽悠太(Honda)も「走った後のリカバリーの速さが今までのシューズとは違う」と話しており、長距離走者にかかる足への負担も軽減されているようだ。


 箱根駅伝では東洋大などの選手を中心に、ナイキ社のシューズを履いて走る予定だ。

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%【写真提供:NIKE】
ナイキ ズーム フライ
ナイキ ズーム フライ【写真提供:NIKE】

3D形状の足型、雨にも強いグリップ 青学連覇を支えるアディダス

アディダス社は青山学院大の選手の足元を支える
アディダス社は青山学院大の選手の足元を支える【写真:田村翔/アフロスポーツ】

“王者”青山学院大の足元を支えているのが、アディダス社の「アディゼロ」シリーズ。出雲駅伝を初制覇した翌年の2013年からサポートが始まり、昨シーズンの大学駅伝三冠達成の偉業までともに歩んでいる。


 今シーズンの主力となるのが「adizero takumi sen boost(アディゼロ タクミ セン ブースト)」。その最大の特徴は、日本人のために開発された3D形状の「マイクロフィット レーシングラスト(足型)」で、ぶれないフィット感とホールド性を実現。またアウトソール前足部に使われている「コンチネンタルラバー」はタイヤ製造で有名な「コンチネンタル社」のラバーを使用しており、高いグリップ性能を発揮している。乾いた路面だけでなく、雨で濡れた路面でも強いグリップ力を発揮し、スピードを出すための推進力をサポートする。またシューズの前足部に搭載されている「BOOST フォーム」は、優れた反発力と衝撃吸収性を兼ね備えており、着地から蹴り出しまで、選手の足を支えている。


 シューズの基本性能に関しては大きく変化していないが、今回はキーカラーをオレンジと白の三本線へと変更している。


 長距離走者にとって、シューズに特に求める要素の1つが軽量性で、「アディゼロ」ではアッパーのメッシュ素材や、無駄を省いたシンプルな構造でそれを実現している。またフォームを薄くすることや、アウトソールのラバーのグリップ力が高まることで、地面を直接つかむような感覚で走れることが、推進力へとつながっている。


 今回は青山学院大の4連覇が懸かる箱根駅伝となるが、そのシューズに込めたスローガンは「刻んだ日々は、裏切らない。絶対に。」その思いが、一番最初に大手町のゴールテープを切る瞬間に刻まれることになるか。

adizero takumi sen boost(アディゼロ タクミ セン ブースト)
adizero takumi sen boost(アディゼロ タクミ セン ブースト)【写真提供:adidas】

ミズノ「駅伝文化」の日本人向けのレース用シューズ

ミズノ社は契約選手へのシューズカスタム化をしている(写真は契約選手の佐藤悠基)
ミズノ社は契約選手へのシューズカスタム化をしている(写真は契約選手の佐藤悠基)【写真は共同】

 日本のスポーツメーカー「ミズノ」社が送り出す主力シリーズは「ウエーブクルーズ」と「ウエーブエキデン」。ロードを走る上で重要となるグリップ力が強く、蹴り出しでの推進力がついて、スピードが出やすいシューズとなっている。レース用のシューズでは、トラックでもスパイクを履く感覚で使用しているトップ選手もいるとのことだ。


「ミズノ」社の特徴としては、日本の企業ということで、日本人契約選手の一人ひとりに別注でのカスタム対応をしているということ。箱根駅伝においても、有力選手には個々に合わせたシューズを提供している。


 日本の長距離選手は、「マラソン文化」よりも「駅伝文化」の色が濃く、速く走るためには軽くて薄いソールを好む傾向がある。特にミッドソールは、厚くなると地面に接地した際に「厚み」を感じてしまうが、それが薄くなることで、より地面からの反発を感じるのと同時に、薄くなることでシューズ自体の軽量性にもつながっている。またミッドソールは、横の動きに対する剛性と、縦の圧力に対する柔性を兼ね備えたミズノ独自の波形ソール「ミズノウエーブ」の機能を実現するように、使用する接着剤の硬度を利用して、反発性も生み出している。


 選手個々へのカスタム化をしているため、その特徴をひとまとめにすることはないが、今回の箱根駅伝では、キーカラーを「赤」にして、箱根路の快走を演出する。

ウエーブクルーズ
ウエーブクルーズ【写真提供:MIZUNO】
ウエーブエキデン
ウエーブエキデン【写真提供:MIZUNO】
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