「宮原選手の演技には幸せが出ていた」 安藤美姫が全日本フィギュア女子を解説
この女子フリーの結果を受けて、2007年と11年の世界選手権を制し、06年トリノ大会、10年バンクーバー大会と二度の五輪に出場した安藤美姫さんに各選手の演技を解説してもらった。
宮原選手は五輪に出場するにふさわしい
宮原の演技には、ケガからこの舞台に戻ってこられた“幸せ”がにじみ出ていた 【坂本清】
そんな大会を制したのが宮原選手です。彼女としては恐らくまだまだ最高の演技ではなかったと思いますが、五輪選考会でショートとフリーを大きなミスなくまとめました。ジャンプでは3回転ルッツ+3回転トウループで回転不足を取られましたが、スピンやステップのスケーティングスキルで魅せられる選手は世界的に見ても少ないですし、頭ひとつ抜けているなと感じました。それに加えて、今回はケガからこの舞台に戻ってこられた“幸せ”が演技に出ていたように思います。ただ、動きとしては本来もう少し力強いはずです。最高の状態のときの宮原選手の演技は強さしか見えない。それでも経験を生かし、きちんと自分の気持ちと向き合って、ここまでの演技ができたというのは、五輪に出場するにふさわしい選手だと思います。
2位に入ったのが坂本選手です。すごく力強い演技をするので、見ていて「おー」となりました(笑)。一方で、ショートはスケーティングや表現面ですごく洗練されてきたと思ったのですが、フリーになるとスケーティングやちょっとしたところで、まだ荒削りな部分が見られました。若い選手ですのでそれは良いところでもありますし、ジャンプもダイナミックです。最終滑走でプレッシャーがかかる中、ノーミスで滑り切ったのも素晴らしかったのですが、そうした部分が点数に影響したのではないでしょうか。最初の3回転フリップ+3回転トウループで回転不足を取られていますが、自分の強みであるジャンプでそれを取られてしまうとやはり厳しくなります。もっとも、あれだけ飛距離のあるジャンプを跳べる選手はなかなかいませんので、彼女に必要なのは洗練された滑りや丁寧にスピンなどで、もっと加点をもらえるようにしていくだけだと思います。
樋口選手に伝えてあげたいこと
樋口には「自分が思っているように輝いているから、自信を持ってほしい」と伝えたいという 【坂本清】
ショートで7位だった三原舞依選手(シスメックス)は、5位に順位を上げました。緊張が少し垣間見られましたが、すごくきれいな演技でしたし、川が流れるような清らかな印象を受けました。ショートでの点差が響きましたけれど、あのショートからフリーできちんと自分らしく演技をするというのはなかなかできないことです。三原選手は世界的に見ても実力がある選手なので、これを機にもっと努力するでしょうし、次はさらに強くなって戻ってくると思います。