「大会を制すカギはSPの坂本選手」 安藤美姫が全日本フィギュア女子を解説
本郷選手の演技は一輪のバラが咲いたよう
長身を生かした本郷のダイナミックな演技は、会場を大いに盛り上げた 【坂本清】
年齢制限もあり、五輪の出場資格はないですが、紀平梨花選手(関西大KFSC)のトリプルアクセルは言葉にならないすごさがありました。自信を持って跳んでいます。ただ、最後に3回転ルッツがパンクしてしまいました。フィギュアスケートはジャンプだけじゃないとあらためて感じます。トリプルアクセルという武器があっても、ミスをすることで、3回転+3回転とダブルアクセルをしっかりやった選手とあまり点数が変わらない。大技を見られるのは素晴らしいし、エキサイティングですけど、ジャンプだけでは勝てない。自分の得意なものを質を良くして滑ることが、フィギュアスケートでは大事なのだと勉強になりました。
印象に残った木原選手の演技
大人っぽい演技でインパクトを残した木原。安藤さんも「見ていて楽しかった」と語る 【坂本清】
あとは選手時代の私のコーチであった門奈裕子先生が指導している荒木菜那選手(中京大中京高)にも注目しています。SPではスピンでミスをしてしまい、門奈先生に「スピンが……」とメールしたところ、同じように先生からも「スピンが……」と返ってきました(笑)。とはいえ成長過程なので、勉強だと思って、この試合を楽しんでもらいたいです。たぶん門奈先生からも同じように言われていると思います。
最後に23日のフリーに向けてのカギは、まさにSPの坂本選手です。とにかくこの雰囲気を楽しむこと。4年に1度のこの全日本の雰囲気を誰が一番楽しめるのか、自分らしく氷の上にいられるかが、大会を制するカギになると思います。どの選手にもチャンスがあるし、どの選手が選ばれてもふさわしいと思います。SPが終わって、代表争いに入っている選手だけではなく、出場している選手皆さんに輝いてほしいと思います。
(取材・構成:大橋護良/スポーツナビ)