フォーミュラEが12月2日に開幕 スポット参戦の可夢偉「上位を狙いたい」

田口浩次

大都市での開催は大きな魅力

香港、パリ、ニューヨークなど世界的な大都市で開催されるのがフォーミュラEの魅力。写真は2017年のパリでのレースのもの 【Photo by Sam Bloxham/LAT Images / Formula E via Getty Images】

 さらに都市開催型のフォーミュラEには、観光面でも大きな可能性があると言う。そして、フォーミュラEから他のレースカテゴリーへファンを拡大することを目指して欲しいと。

「もしフォーミュラEが日本に来たら、きっと成功すると思います。ただ、寒い時期は避けてほしいですね。ゴールデンウィーク前後とか、桜の季節だったら、間違いなく海外からのファンも集まると思うし最高ですね。フォーミュラEは都市で開催するので観光業との連携が取りやすいですね。いま増え続けているインバウンドへの効果も見込める。逆に日本人が海外で開催されているフォーミュラEを観戦に行くのもいい。時期が良ければ日本人の海外旅行、海外からの日本旅行、どちらにもメリットがある。そして、フォーミュラEは敷居が低いので、これでモータースポーツを知ってもらい、他のレースにも興味を持ってもらえると思うし、フォーミュラEが活性化すれば、他のモータースポーツカテゴリーでも、日本国内での都市レース開催も実現できるかもしれない。もちろん、現在もデモランなどで街なかでレーシングカーを見てもらうチャンスはありますが、やはりお金を払ってでも見てみたいと思えるよう、本物のレースを開催してほしいですね」

ぶっつけ本番で臨む香港大会

 さて、レースを前に可夢偉はどのような気持ちで香港大会に挑むのだろうか。テストも行えず、すべてがぶっつけ本番。最高速は時速200キロほどで、バッテリーを搭載しているため車両重量も重く、はた目には鈍重なカテゴリーにも見える。しかし、可夢偉によれば、フォーミュラEはどのドライバーにとっても難しいレースだと言う。例えばハイブリッド車両やWEC、F1でも当たり前のように行われているブレーキのエネルギー回生。ドライバーは普通にブレーキを踏めば、最適な状態でエネルギー回生をしてくれる。しかし、フォーミュラEのいくつかのチームでは、ステアリング上で、コーナーごとにエネルギー回生の設定を変更する必要がある。つまりドライバーに求められる要素が、他のレースよりずっと多い。それもある意味魅力だという。

「フォーミュラEのシャシーやバッテリーは現在同一で、シーズン1の頃はマシンもイコールコンディションだったと思います。ただ、シーズン4ともなると、各チームそれぞれコンピュータ部分に手を加えたり、チームごとのノウハウがあって、マシン差もそれなりにありますね。だから、テストもなしで挑戦というのは、簡単じゃない。自分のなかで香港大会にどう挑むか……わからないですね(笑)。やってみないとわからない。でも、やるからには上位を狙いたいです」

 果たして、可夢偉がどのようなレースを魅せてくれるのか、MS&ADアンドレッティはどれほどのパフォーマンスを持っているのか、現時点ではわからないことだらけだ。しかし、今回の挑戦が大いに注目を集めることは間違いない。

 ひとつ残念なのは、過去3シーズンの放送をしてきたテレビ朝日がフォーミュラEから撤退。新たにBS放送やCS放送で有料配信しているJ SPORTSが全14戦を生中継を中心に放送することが決定した。ただ、今回の香港大会は第1戦、第2戦ともに無料放送で見ることができる。2日の第1戦、3日の第2戦とも11時45分から予選、15時半から決勝が行われる。ぜひとも、可夢偉の新たな挑戦を応援してみたい。

小林可夢偉が意気込みを語る

(撮影:田口浩次)

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