現役最強はキタサンか、レイデオロか データで占う頂上決戦ジャパンCの勝ち馬

JRA-VANデータラボ

前走天皇賞(秋)組の着順別成績(過去10年)

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 天皇賞(秋)組の取捨がかなり大きなポイントである点は明らかだ。だが、単純に同レースの好走馬だけを買っているわけにはいかない。その理由は表4からわかる。前走1着の成績が【0.2.4.1】という成績。複勝率は85.7%と非常に優秀なのだが、勝ち馬が出ていない点が気になる。10年はブエナビスタが1位入線からの2位降着なので、実質は勝利しているのだが、案外苦しんでいる馬が多い印象だ。連対という面で見ると、前走2〜4着あたりの馬と成績はさほど変わらない。前走6〜9着の馬でも巻き返しが十分あり、勝ち馬も2頭出ている。前走10着以下でようやく厳しくなる印象。前走天皇賞(秋)の成績をそのまま信用しすぎるのは、よくないと言えるだろう。

前走天皇賞(秋)組で好走した馬(過去10年)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 実際に前走天皇賞(秋)組で好走した馬を詳しく見てみることにする(表5参照)。15年は天皇賞(秋)で4着だったショウナンパンドラが1着。ラブリーデイが1番人気で3着に敗れた。こうした着順の逆転がほかの年でも起きている。着順を上げてきている馬はエピファネイアやアドマイヤムーンといったG1勝ち馬が多く、また牝馬も目立つ。ショウナンパンドラに加え、ジェンティルドンナやブエナビスタ、ウオッカなど、歴史的な名牝が名を連ねている。天皇賞(秋)からの変わり身を見抜くことが、かなり重要だと思われる。

結論

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 それでは今年のジャパンCを展望してみよう。出走予定馬は表6の通りだ。

 外国馬の出走は4頭いるが、実績的には地味と言わざるを得ない。なかなか適性やレース展開・ジョッキーの腕でカバーしきれるレースではないので、今年も厳しいと見たい。よって日本馬同士の戦いになるだろう。

 今年の天皇賞(秋)は周知の通りキタサンブラックが勝利した。大変な不良馬場で行われたため、着順イコール能力と言い難い面は多々あるが、好走した馬たちの地力を疑う余地はない。ただ、天皇賞(秋)で勝利したことでここでの勝利が遠のいた可能性はある。データ的には天皇賞(秋)からの連勝は容易ではないからだ。連軸としては信頼できても、勝ち切るのは簡単ではないとみたい。

 天皇賞(秋)で惜敗の2着で、今年の宝塚記念を制しているサトノクラウンの逆転も、データからでは十分考えられる。あと、敗れた馬の中では紅一点のソウルスターリング。この秋は苦しいレースが続いているが、人気を落とすようならば見限れない。このレースは牝馬が回収率を押し上げているので、巻き返しを警戒したい。

 あとはレイデオロ。前走神戸新聞杯を快勝し、菊花賞ではなくここに照準を合わせてきた。芝2400mのG2をステップレースにして挑むという臨戦過程として考えれば、成功例はあると言える。勢いある3歳馬の中でもダービー馬の称号を持つ特別な存在。古馬を撃破し、一気の頂点も狙えそうだ。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント