宮原知子「去年とは違う自分の姿を」 復帰戦で感じさせた変化、その決意

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「この舞台にやっと戻ってこられた」

GPデビューの白岩優奈(左)、本郷理華(中央)とともに前日会見に臨む宮原(右) 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 復帰までの道のりは長かった。5月に氷上練習を再開し、7月末にはアイスショーにも出演。しかし、練習中に捻挫をしたり、体調を崩したりとなかなかコンディションが整わない。当初、復帰戦と予定していた10月のフィンランディア杯も出場を取り止めた。

 離脱している間に、三原舞依(シスメックス)や樋口新葉(日本橋女学館高)ら年下の選手が台頭してきた。3月の世界選手権の結果により、平昌五輪の出場枠は「2」になった。宮原にとっては完全なる逆風だ。

 そうした紆余曲折を経て迎えたのが今回のNHK杯だった。公式練習では3回転ルッツ+3回転トウループを決めるなど順調な回復をアピールし、前日会見ではこう決意を語った。

「去年とは全然違う、変わったなと思われる自分の姿を見せたい」

 SP用のピンクの衣装に身を包んだ宮原が氷上に現れると、会場内は大歓声に包まれた。

「自分の名前がコールされたとき、今まで以上に声援が大きく聞こえて、この舞台にやっと戻ってこられたんだなという気持ちになりました」

 そう喜びをかみしめた。

ケガをしたことで心持ちが変化

復帰戦ベストな演技とはいかなかったが、宮原に焦りはない 【写真:坂本清】

 自身の演技内容についても冷静に振り返る。

「想像よりは体が動いて、試合でも疲れずに演技ができたと思います。振り付けのときや普段の練習でも曲に合わせてメリハリをつける練習をしてきたので、そこをしっかり見せようと思って滑りました。ひとまずここまで演技ができたので、12月の全日本に向けてこれからだなという気持ちが強くなりました」

 前週の中国杯SPで70.53点をマークした樋口をはじめ、三原や本田真凜(関西大中・高スケート部/共に66.90点)、今大会での本郷(65.83点)も、宮原の得点を上回っている。自身の自己ベストは74.64点だ。それでも宮原に焦りはない。

「ここまでいろいろなことに気をつけて練習をしてきました。今回はそれほど良い演技はできませんでしたが、練習では去年よりも良い演技が少しずつできているので、それは手応えとしてあります」

 さらにこう続ける。

「今までは力が入り過ぎるときがあって、自分を追い込むような気持ちになることがあったんですけど、今季はせっかくここまで来られたので、思い切ってやればいいかなという軽い気持ちでやることができています」

 ケガをしたことによって、心持ちは確実に変わった。あとは演技でその変化を示すことができれば、おのずと目指す場所にたどり着くはずだ。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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