エリザベス女王杯を勝ち切る馬の要素は? 過去の傾向から徹底分析!

JRA-VANデータラボ

脚質別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 脚質別の成績を見ると、「先行」した馬は【1.7.1.27】と好走馬9頭中7頭が2着。3コーナーの通過順で見れば2〜5番手で計【1.7.1.35】になる。07年ダイワスカーレット、09年クィーンスプマンテと2頭の逃げ切りこそあるが、好位勢で勝利を手にしたのは08年リトルアマポーラ(通過順[5-5-5-3])のみ。また、この3頭とも07〜09年のため、10年以降の勝ち馬はすべて「中団」だ。ただ、「後方」になると過去10年【0.0.1.43】。3コーナー通過順なら12番手以下の馬は【0.1.3.47】と、あまり後ろからでは厳しくなる。

種牡馬別成績(過去5年)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 過去5年の種牡馬別成績では、好走馬15頭中13頭、連対馬10頭中9頭がサンデーサイレンス系。近年はそんな傾向のレースも多いが、このレースではディープインパクトでも単複の回収率が100%を超えてきている点は注目に値する。なお、ブライアンズタイム産駒の連対は、重馬場だった12年のレインボーダリアだ。

日本馬の前走クラス・レース別成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、日本馬の前走レース・クラス別成績。11年より古馬のステップレース・府中牝馬SがG3からG2に昇格し、以降はG3組の好走なし。G3〜1600万組は過去6年計【0.0.0.20】と好走馬がまったく出ていない。1000万組も今年は不在のため、狙いは前走G1〜G2組に絞られる。ただ、09、10年に立て続けに連対した京都大賞典組はそれ以降の好走がない。過去6年では1〜2番人気馬でも【0.0.0.4】で、13年の1番人気・ヴィルシーナ10着など、4頭すべて2桁着順に終わっているのは気に掛かる。なお、休養明けでの好走は昨年の3着馬・ミッキークイーン(ヴィクトリアM2着以来)1頭のみだ。

前走秋華賞からの好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走秋華賞からの好走馬は表7の9頭。うち8頭は同レース3番人気以内、7頭は2位以内に入線していた。昨年は古馬勢が上位を独占したが、それまでは毎年好走馬を出していた。ただ、好走は1年に1頭のみで、秋華賞組から2頭以上が馬券に絡んだ年はない。秋華賞以外も含めた3歳馬の2頭好走は、前走が英セントレジャーだった英国馬・スノーフェアリーが優勝した10年(3着アパパネ)と、前走1000万勝ちのラキシスが2着になった13年(1着メイショウマンボ)の2回。ただ、今年登録してきた3歳馬は秋華賞の1〜3着馬だ。

前走秋華賞以外からの好走馬(日本馬、11年以降)

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に、秋華賞以外からの好走馬も見ておこう(日本馬、府中牝馬SのG2昇格後)。まず前述の3歳馬ラキシスと、12年の5歳馬・レインボーダリア以外の10頭はすべて4歳馬。その4歳の府中牝馬S組は掲示板外からも巻き返しがあり、その他は5着以内が条件になる。もっとも4歳の府中牝馬S組でも、牝馬三冠馬・アパパネ以外は7着以内と、大敗しているようでは苦しい。そして好走12頭中9頭は前走4番人気以内。また、連対馬7頭中6頭は府中牝馬Sかオールカマー組だった。

結論

 近年は3〜4歳馬が中心となるエリザベス女王杯。過去10年では1〜2番人気が安定していたが、ここ5年は5〜7番人気の健闘が目立つ。また、近7年の優勝馬はすべて「中団」から進めた馬で、先行勢は2着止まり。秋華賞組なら前走3番人気以内の連対馬、その他ではオールカマー5着以内、府中牝馬Sなら7着以内が目安になる。また、1〜2枠の5番人気以下は好走がないため、穴を狙うなら枠順も重視したい。

 今年は5歳以上にも上位人気に推されそうな馬は少なくないが、表2にあったように、近年のエリザベス女王杯は3〜4歳馬が中心のレースだ。中でも注目は、昨年の秋華賞馬・ヴィブロス。今年はドバイターフを制し、それ以来の一戦だった前走・府中牝馬Sでは1番人気2着で表8はクリア。ディープインパクト産駒(表5)、差し脚質(表4)という点も好材料だ。

 同じ4歳で穴っぽい馬を探すなら、その府中牝馬Sでヴィブロスを下したクロコスミア。同レース7着以内の4歳馬(表8)で駒を進めてきたのは、本馬とヴィブロスの2頭だけだ。ステイゴールド産駒は過去10年【0.0.0.8】だが、全馬8番人気以下。サンデーサイレンス系という点では好走傾向に合致はしており、近年好走の多い5〜7番人気までに入れば楽しみがある。8、10年前とはいえ逃げ切りの例もあるだけに、ハナを切れるとみれば一発の期待もかけられる。

 一方、今年は秋華賞上位馬のみの参戦となった3歳勢で、同レース3番人気以内の連対馬(表7)はディアドラだが、ハービンジャー産駒という点がどう出るかがカギ(表5)。4番人気でも、2着のリスグラシューはハーツクライ産駒だけに、対ディアドラなら大きなマイナスにはならなそうだ。ただ、減点材料を抱える3歳馬との比較なら、5歳馬から、ここにきて好走馬の出始めたオールカマーを制したルージュバック(父マンハッタンカフェ)や、昨年3着と同じく休養明けで出走してきたミッキークイーン(父ディープインパクト)、そして昨年の覇者・クイーンズリング(父マンハッタンカフェ)あたりを買う手もある。この5頭、いずれもG1連対実績馬だが、前述のように近年は5〜7番人気の健闘が目立つだけに、配当のつく馬から順に候補に入れてもおもしろい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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