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宮本裕向が先輩・田中将斗を破り爆破王に
長与千種は高橋奈七永を退け爆女王V3

工藤めぐみEPが準備した還暦電流爆破だったが……

大仁田厚が礎を築いた電流爆破は、創始者の引退で新世代へと受け継がれた
大仁田厚が礎を築いた電流爆破は、創始者の引退で新世代へと受け継がれた【写真:SHUHEI YOKOTA】

 超花火実行委員会が主催する「超花火 電流爆破フェスティバル2017 in KAWASAKI 川崎伝説」が3日、川崎市スポーツ文化総合センター「カルッツかわさき」(元川崎市体育館)では、2大タイトルマッチなどが行われ、825人を動員した。


 当初、同大会は、3日前の10月31日に東京・後楽園ホールで「7年ぶり7度目の引退」をした“邪道”大仁田厚の「真の引退試合の場」として用意された。大仁田は自身がこだわる「還暦(60歳)での引退」を実現させるため、95年5月5日に2度目の引退試合を行った川崎球場の跡地に建つ「富士通スタジアム川崎」での電流爆破マッチの開催を熱望していたが、会場の都合で断念。85年1月3日に最初の引退式を行った後楽園での引退を発表した。


 だが、引退試合の1カ月前になって、工藤めぐみエクスプロージョンプリンセス(EP)から「大仁田さんの還暦電流爆破を見届けたいというところから超花火はスタートしました。最後に大仁田厚が散る場所は電流爆破だと思っています。数々の伝説を作った川崎で、電流爆破で散ってほしい」と、引退試合からわずか3日後に、伝説地の向かいに建つ会場での電流爆破マッチを用意。この呼びかけに、ファンは「引退からわずか3日後にもう復帰か」と色めき立ち、一時は引退試合である後楽園大会のチケットが100枚以上もキャンセルされる事態となったが、大仁田が会見を開き、「出ない」と復帰の可能性を完全否定。もし出場した場合は、引退試合のチケットの全額返金に応じることを発表していた。


 そして10月31日、大仁田は後楽園ホールで予定通りに引退。引退試合の前に引退セレモニー&10カウントゴングが行われたり、ダンプ松本から「大仁田さん、いつかまた戻ってきてください」、TARUから「大仁田厚は引退しません。次やる時は、1対1でやろうよ」と“復帰ラブコール”を贈られるなど、異例づくめとなったものの、引退試合では自身が対戦を熱望したアントニオ猪木のまな弟子・藤田和之と6人タッグ戦で激突。最後はNOSAWA論外をサンダーファイヤーパワーボム7発で沈めると、リングを取り囲んだ信者たちに聖水パフォーマンスをお見舞いし、「おまえら、オレみたいな男に四十何年間、ありがとよ!」と呼びかけて、レスラー人生に幕を閉じた。


 大仁田は引退翌日に行われた一夜明け会見でも、改めて復帰の可能性を否定。12月3日に東京・新木場1stRINGで自身がプロデュースする「大仁田反省会」を開催し、レフェリーとして試合を裁くことは発表したものの、プロレスラーとして試合を行うことはもうないと断言。この日の大会にも、顔を出すことはなく、大仁田ブランドとして15年に始まった「超花火」シリーズも、この大会より“新生”超花火シリーズとしてスタートすることとなった。


 今大会の舞台となったカルッツかわさきは、2014年12月27日をもって閉館した川崎市体育館の跡地に建設され、今年10月1日に開館した「カルチャーとスポーツを合わせた」複合施設。以前の川崎市体育館は「女子プロレスの聖地」として知られ、全日本女子プロレス、JWP、LLPW、GAEA JAPAN、アルシオン、NEO女子プロレスなどが使用。なお、新日本プロレス、全日本プロレス、大日本プロレスなど、男子団体も過去に使用している。解体前最後の試合となったのは、ワールド女子プロレス・ディアナによる、井上京子vs.堀田祐美子のノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチであり、最初の試合も、開館日の10月1日にディアナがプロレスこけらおとしを行っている。

新王者・宮本「新しい爆破王はオレが引っ張っていく」

宮本裕向が先輩・田中将斗を破り爆破王に。「オレが引っ張っていく」と宣言
宮本裕向が先輩・田中将斗を破り爆破王に。「オレが引っ張っていく」と宣言【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントの爆破王選手権試合では、電流爆破バットデスマッチ(ストリートファイト形式)によって争われ、宮本裕向が王者・田中将斗を破り新王者に君臨した。


 両者は今年のZERO1「火祭り」公式戦、9.30ZERO1後楽園ホール大会での世界ヘビー級王座戦で2度にわたり対戦。いずれも田中が勝利している。


 田中は93年にFMWに入門し、95年に大仁田が引退後は、故ハヤブサさんとともに新生FMWのエースに君臨。97年9月28日には、この会場向かいにある川崎球場で故・グラジエーターさんと激闘を展開し、これがきっかけで米国ECWなどでも活躍。現在はプロレスリングZERO1に所属しながら、他団体にも参戦。新日本プロレスのNEVER無差別級初代王者であり、IWGPインターコンチネンタル王座も戴冠。今年の9.24超花火・名古屋大会で師匠・大仁田との一騎打ちに初めて勝利し、ベルトを戴冠。爆破王タッグ王座(パートナーはTARU)と合わせ2冠王となった。


 一方、宮本は過去に故ハヤブサさんらが02年に旗揚げしたWMFに練習生として入門。いわば「FMWの遺伝子」を背負っており、現在は暗黒プロレス組織666に所属しながら、他団体でも幅広く活躍。大日本プロレスではBJWデスマッチヘビー級王座にも君臨し、元暴走族ならではのヤンキー魂と、恐れを知らない特攻ファイトで、数々の過激なデスマッチに挑戦してきた。


 今回の試合は、通常のロープを張ったリングで行われ、青コーナー上に設置されたスイッチを押すと、パトランプが点灯し、有刺鉄線バットに電流が流れる仕組み。開始早々、宮本が有刺鉄線バットをつかみ、田中めがけて振りかざすも、かわされてコーナーポストに誤爆。逆に田中がバットを手に、場外で宮本の腹にたたき込むと、激しい閃光と爆音に包まれた。なおも田中は場外へのスーパーフライ。宮本が痛めた左ヒザにニークラッシャー、足4の字固めを見舞うも、宮本もダブルニーアタック、サンダーファイヤーパワーボム。だが、ムーンサルトプレスはヒザ剣山でブロックされ、田中がDDT、ラリアット、雪崩式ブレーンバスター、スーパーフライとたたみかける。


 10分過ぎ、田中はスーパーフライ、スライディングDからテーブルへ寝かせた攻撃を狙うも、宮本が起き上がり、テーブルで田中の頭を殴打。さらに机上へのヤンキードライバーから、スイッチを押し、有刺鉄線バットでフルスイング。火花に包まれた田中の体にムーンサルトプレス2連発をたたみかけ、3カウントを奪った。


 15年前、デビュー当時から田中の背中を追いかけてきたという宮本が「僕らの戦いはこれで終わりじゃないですよね。まだまだ、田中さんの背中、追いかけさせてください」と訴えると、田中も「そんな簡単にはオレの牙城を崩させない。次、挑戦するときはオレが獲らせてもらう。おまえの前にはオレがずっと立ち続けるってこと、忘れないでくれ」と、リベンジを誓った。


 ベルトを巻いた宮本は「新しい爆破王はオレが、オレが引っ張っていく。ZERO1超花火もオレが引っ張っていくぞ。誰にも負けない自信を持って、田中さんを倒した誇りも持って、これからも頑張っていきたい」と、新生超花火のエースとなると宣言。大仁田の弟子ではない男が、大仁田が遺した超花火を盛り上げていくことを誓った。

高木裕美
静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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