メルビン・マヌーフが引退試合 4度目の対戦でボンヤスキーに勝利

遠藤文康

自らのWFLで引退試合を手がける

 2002年にマヌーフはレミー・ボンヤスキーと初対戦し負けた。すさんだ生活のマヌーフとは対照的にボンヤスキーはK−1でトップにまでなった。それを知ったマヌーフは強烈な刺激を受けた。2人は都合3度対戦しマヌーフの全敗。ノッポとチビの組み合わせながら、2人はいつも場内を熱くする闘いを披露した。

 今回そんなマヌーフから引退試合の相手役として指名されたボンヤスキー。既にボンヤスキーも引退していたが、気持ちよくオファーを受けた。そして試合当日までにきっちりと体を造り上げ、ボンヤスキーはリングに立った。隆々たる引き締まった筋肉は引退選手とは思えないほどのコンディション。マヌーフの仕上がりも素晴らしい。

 互いに手の内もパワーも動きもすべて知り尽くしている両者。慎重な探り合いから始まった3分3Rの試合は、マヌーフが攻め続け、ボンヤスキーが受け中心にミドルとヒザをリターンする展開となり、ジャッジ判定はマヌーフ。自らが主催するWFLで自らの引退試合を手がけたマヌーフは、4度目の対戦でやっとボンヤスキーから勝利を手に入れた。判定の瞬間、マヌーフは両膝をリングにつき天に向かって雄叫びをあげた。横では激闘を終えたボンヤスキーが微笑んでいた。

後進を育て、日本のK−1へ選手を送り込む

 ボンヤスキーのコンディションの良さを見ていると復帰チャンスをうかがっていたような節もある。マヌーフからの引退相手役オファーは渡りに船の感じだったように思える。

「グローリーのリコ・フェルフーフェンの対戦相手として俺はオープンだぜ」などと口にしているボンヤスキー。やはりどこかに燃焼し尽くしてない気持ちがあるようだ。

「オランダは、ピーター・アーツ、アーネスト・ホースト、レミー・ボンヤスキー、セーム・シュルトそれにバダ・ハリなど多くの選手を輩出してきた。みんな順に引退だ。だから次世代を育てることが俺の役目だと思う」

 こう話すマヌーフはイブラヒム・エルボウニという選手を自分が主催するWFL大会で見いだし、目を付けて育て上げ、11月の日本でのK−1ヘビー級トーナメントに送り込んできた。
「イブラヒムは新世代のバダ・ハリだ。俺が推す次世代選手だぜ(笑)」

 20代に何度も警察の厄介となり、あげくはヤクザ者になろうとしていたマヌーフ。ギリギリの場面でマイク会長の言葉で覚醒し、ぐっと踏ん張って更生を遂げ、家族との生活に落ち着きも取り戻し、数年前には自分の大きなジムを立ち上げ、続いてWFLという自前大会をスタートし、今後は次世代育成のため尽力したいとまで言っている。一選手の人生劇場としてまことに波乱万丈ながら清々しい。今後のマヌーフの選手育成に期待したい。

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント