履正社ナインが語るロッテ1位・安田 超高校級スラッガーの素顔とは!?

沢井史

自習時間に黒板の前に立って…

入学当時は目立った存在ではなかったというものの、チームメイトも「常に考えながら練習をしている」と認めるほどの練習態度で実力を培ってきた 【写真は共同】

 ただ、安田がチーム内でも常に羨望のまなざしで見られるのはその先なのだ。左腕の松井百代をはじめ、ほとんどの選手はこう口にしていた。

「注目されても、偉ぶった態度を取らないんです。清宮(幸太郎/早稲田実)と比較されて選抜でも注目されていましたけれど、だからどうなったっていうのも感じませんでした。秋は日本代表になって、もっとすごくなって帰ってきても何も変わっていないですし…。飾らない人柄というか。この先も、ずっとそんな気がします」

 もうひとつ、面白い話を聞いた。安田は日本史が得意という話はよく知られているが、クラスメイトでもある正捕手だった片山悠が言う。

「この間、授業が先生の出張で急に自習になって1時間空いてしまってどうなるんかな…と思ったら、安田が急に黒板の前に立って日本史の話をしはじめたことがあったんです。話が進んでいくうちに、みんなに質問もするようになって。まるで本当の授業みたいでした。しかも、それが様になっているんです。安田が先生に見えるほど。自分たち、その授業の感想文も後に書いたんですよ(笑)」

 エースの竹田祐は、10月中旬の練習に向かうバスの中で、安田が選挙について真剣に話をしている姿を目にした。

「とにかく何でも知っています。普通にそんなこと分からないでしょ、みたいなこともちゃんと分かっているので、単に“頭がいい”というより、普段からニュースなどでいろいろな情報を取り入れているんだと思います」

チームメイトの大きな目標へ――

 常に周りより先を行く“逸材”だが、仲間との間では普段通りの表情で接してきた安田。そんなチームメイトが晴れてドラフト1位指名を受ける姿を見て、ともに頑張ってきた同級生はこう口を揃える。

「4年後は同じ舞台で勝負したいです」

 仲間であって、これからはライバルに、そして大きな目標にもなっていく。だが、高校野球で結ばれた絆は永遠だ。カメラのフラッシュの光に照らされる安田の笑顔を、温かい目で見つめるチームメイトたち。仲間たちにとって自身の目標を見つめ直す貴重な機会となったと同時に、安田もまたどんなステップを踏んで真のスラッガーの道を歩んでいくのか――。今から楽しみでならない。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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