ソフトバンクの大勝を引き寄せた四球 岩村明憲氏の日本シリーズ解説

スポーツナビ

5回に一挙7点を奪うなど日本シリーズ初戦に大勝したソフトバンク。岩村氏は勝因として5回のある打者に注目しました 【写真は共同】

 プロ野球の頂上決戦「日本シリーズ」第1戦が28日に行われ、パ・リーグ王者の福岡ソフトバンクが10対1と大勝。セ・リーグ3位ながらクライマックスシリーズ(CS)を制した横浜DeNAを下し、シリーズ先勝を果たした。

 ソフトバンクは初回、1死二塁から3番・デスパイネのタイムリー二塁打で先制。2回には長谷川勇也の2ランで試合を優位に進める。相手に1点を返された直後の5回には、打者10人の猛攻で一挙7点を奪い、流れを不動のものにした。

 投げては先発・千賀滉大が7回4安打1失点の好投。その後はリリーフ陣が無失点で切り抜けた。敗れたDeNAは先発・井納翔一が5回途中7失点と振るわず、ロペス・筒香嘉智・宮崎敏郎の強力クリーンアップも不発。投打ともに振るわなかった。

 スポーツナビでは、ヤクルトやMLB・レイズなどで活躍し、短期決戦の経験が豊富な岩村明憲氏による日本シリーズのポイント解説をお届けする。

投手にプレッシャー与えた9番打者

 以下は岩村氏の解説。

「立ち上がり、先発の千賀投手と井納投手は互いにストレートが多くて、先のことを考えすぎているように感じました。緊張感が漂う中での立ち上がりだったので、なかなか自分たちのピッチング、リズムをつかむのが難しかったのかな。それを突いてデスパイネのタイムリーで先制したソフトバンクはさすがでした。

 一つ言えるのは日本シリーズをすでに経験している選手と、これから経験していく選手の違いはあるかなと感じますね。ソフトバンクは経験したゆえに分かることがありますが、DeNAの選手はこれから経験していく若い選手が多いので。

 ポイントを一つ挙げるとするなら、甲斐(拓也)選手が押し出しを選んだところです。これは流れを一気に手繰り寄せたと思いますね。デスパイネのタイムリーなどで5対1にして、それで終わらずに自分のバッティングに徹し、貫き通した結果がフォアボールになりました。

 甲斐選手は9番バッターで次が柳田(悠岐)選手ですけど、相手ピッチャーも9番に投げている雰囲気ではなかったですね。打つべき人が打つのは当たり前ですけど、下位打線の選手がしっかり自分の働きをするのは大事なことです」

DeNAは悲観的になる必要なし

大敗を喫したDeNAだが、岩村氏高卒ルーキー・細川がファーストストライクをヒットにした積極性を称賛した 【写真は共同】

「DeNAは、きょうに関しては経験できたことでいいんじゃないかと思います。大味な試合になってしまいましたが、嘆いても仕方ないので。中継ぎ陣ががんばって3者凡退に抑えた場面もありましたし、日本シリーズを初めて経験した選手が多い中で、そういう意味では切り替えやすいと思いますよ。どれだけ点を取られても1敗は1敗。そうラミレス監督も思っているはずなので、別に悲観的になる必要はないです。

 高卒ルーキーの細川(成也)選手が代打でヒットを放ちましたが、ファーストストライクを打ったことがすごく良かったと思いますね。レギュラーシーズンの開幕と一緒で、なるべく多くの選手を初日に出しておきたいという指揮官の狙いはあると思います。そういう意味ではいろんな選手を使えた1戦目になったと思いますね」

第2戦の見どころは?

「第2戦は東浜(巨)投手と今永(昇太)投手の先発が予想されています。

 東浜君は今年の成績が良かったので、ソフトバンクはホームアドバンテージをどう生かそうかというのがあると思います。DeNAは2戦目が終わったら19年ぶりのシリーズ開催に沸く本拠地に戻れるので、弾みのつくような勝ちゲームにしたいでしょうね。『勝って横浜に帰ろう』という合言葉になっていると思います。

 引き続き注目していきます。泣いても笑っても12球団のうち残った2球団が戦っていますからね。明日以降も熱いゲームを期待しています」
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

「パリ五輪」代表争い激化 古江彩佳、山下…

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント