7球団競合の清宮、縁を感じる日本ハムへ 「ブレずに自分を信じてやりたい」と決意

清水岳志

会見の第一声は周囲への感謝

高校生としては最多タイの7球団が競合した早稲田実・清宮。中学時代に始球式をしたことがあって「縁を感じた」という日本ハムが交渉権を獲得した 【写真は共同】

 縁を感じるドラフトだった――早稲田実の清宮幸太郎は北海道日本ハムが交渉権を獲得した。

 高校生としては1995年のPL学園・福留孝介(阪神)と並んで最多タイの7球団が入札。その中からくじを引き当てたのが日本ハムの木田優夫GM補佐だった。ガッツポーズが早稲田実の会見場のスクリーンに映し出された。

 入札が始まって30分後の午後5時45分。「監督と一緒にテレビの中継を見ていた」という清宮が、1位指名が全て決定してから会見場に現れた。9月22日のプロ表明の会見から1カ月が経つ。学生服を着て、黒の革靴。髪は分け目をつけて整髪されていた。落ち着いた安堵の顔のように見えた。

 第一声。

「まず、今日という日を迎えられたことに、お世話になった方々に感謝したいと思います。一番は、18年間、育ててくれた両親に感謝の気持ちを伝えたいと思っています。指名をいただき、やっとスタートラインに立てたという気持ちでいます。まだまだ自分は何も成し遂げていないので、これから自らを鍛錬して、みんなに目指されるような選手になろうと思っています」

 当日の気持ちを笑いながら話した。

「会場で自分の名前が呼ばれて、ふわふわした感じというか、今までにない感情でした。昨日からソワソワしてました。7球団に指名していただいて光栄に思っています。でも、何も始まったわけではないので。入札の数よりもこれからが大事」

中学時代に日本ハムの始球式を経験

 日本ハムのドラフト戦略は、その年の一番いい選手を指名するという歴史がある。中学1年のとき、日本ハム戦で、かつて日本シリーズで始球式をしたことがあったそうだ。

「あの時から縁があったのかなと(笑)」

 縁を付け加えると、早稲田実の先輩が在籍する。1人は斎藤佑樹。清宮が野球、甲子園に憧れたのは、斎藤が2006年に駒大苫小牧高との決勝再試合を甲子園で生で見たから、と語っている。さらに、つい2日前に荒木大輔氏の二軍監督就任が明らかになったばかり。2人の甲子園のスター。和泉実監督も「それを縁と言うんじゃないの」と口元を緩めた。本人も「(2人の先輩がいて)早稲田の血ではないですが、言わずとも、つながるところもあると思う。見習ってやっていければ」。

 日本ハムはスタメン全員に高卒選手が名を連ねることもある、育成が抜群のチームだ。

「いい選手がたくさんいるし、いいチームだなと思っています。育成に関しては他の球団よりは力が入ってる印象がある。自分も成長できる環境に入れる期待を持っている」

 栗山英樹監督について聞かれて「枠にとらわれないところが好き。いい監督に巡り合えたなと思います」、北海道については「北海道は寒いなというのと、美味しい食べ物がある」と笑った。

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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