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用具も環境も変わる車いすテニス
45歳金メダリストが見てきた20年

用具の進化が「新しいテニス」を幕開ける

2002年、全豪オープンに出場した齋田の様子。用具は大きく進化していった
2002年、全豪オープンに出場した齋田の様子。用具は大きく進化していった【Getty Images】

 20年という歳月のなかでは、競技性も少しずつ進化してきた。齋田は96年アトランタ大会当時と現在では競技レベルが「全然違う」とし、近年の車いすテニスを「新しいテニス」だと評する。


「世界からも新しい選手がどんどん出てきます。彼らは自分たちの考えの範疇(はんちゅう)を越えたテニスをするんです。戦術的にもそうですし、打ち方から全然違ったり」


 背景には用具の進化という面が欠かせない。車いすを体の一部として動かす競技だけに、その進化はプレーに大きな恩恵を与える。例えば、複数のコーンを順に駆け抜ける「スパイダー」という練習メニューがある。フットワークの向上が狙いで、「必死にトレーニングして0.1秒縮まるかどうか」なのだが、自分に適した新型車いすに乗ると「0.3秒」も一気に縮まることがあるのだと言う。


「20年前の車いすで今の動きができるかと言うと、絶対にできない。体力の向上ももちろん必要ですが、それと同じくらい道具の進化とこだわりも大事」と語る齋田。メーカーから新型を提供されても、自身の感覚に合わなければ1週間で乗り換える。常に改良を加え妥協を許さない姿勢を続けた結果、これまでの“愛車”は実に20台以上にのぼる。

「強くなる環境をいただいている」

パラスポーツを取り巻く環境が以前より改善されてきていることに、齋田は感謝の言葉を口にする
パラスポーツを取り巻く環境が以前より改善されてきていることに、齋田は感謝の言葉を口にする【スポーツナビ】

 取り巻く環境の変化に対応し続けることで、16年のリオデジャネイロ大会ではダブルス銅メダルを獲得するなど、トップクラスで20年間戦い続けてきた。そんな齋田も、今年の3月で45歳。「体力測定の数値は落ちていない……どころかむしろ上がっている」と語るが、体の変化は避けられない。「練習の翌日にうまく疲れが抜けない」と自覚し、トレーニングの重さや質に工夫を重ねるようになった。


 ダブルスでパラリンピックもメジャー大会も制しすでに世界のトップを知る身だが、まだ後進に道を譲るつもりはない。


「メダルも何回か取って、ベテランだから……みたいなことはよく言われるんですけれども、1回1回のパラリンピックは自分の中ですごく勝負の、絶対に勝ちたい大会。今まで6回出ていますが、自分の中では毎回毎回、新たなチャレンジなんです」


 次の目標は48歳で迎える東京パラリンピックだ。「われわれパラアスリートとしては、強くなる環境をいただいている」と障がい者スポーツへの後押しに感謝する齋田。7度目の大舞台へ向けて、車いすテニスと歩む1000日がまた始まる。


(取材・文:藤田大豪/スポーツナビ)

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■10月27日11:05〜11:54「ひるまえ ほっと」 NHK総合(関東地域のみ)


「百獣の王」武井壮さんがパラスポーツを体験、トップアスリートとの真剣勝負に挑みます。今回の放送では「車いすテニス」に挑戦します。武井さんはどんなプレーを見せるでしょうか? どうぞお楽しみに。


齋田選手「武井さんの負けん気の強さはすごかったです。また飲み込みの速さ、能力の高さに驚いたとともに、自分もそのようにありたいなと感じました。時間を忘れるほど楽しかったです」

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