ブラサカ川村怜が3年後に描く青写真 ブラジルを倒して東京で世界一へ

宮崎恵理
PR

提供:東京都

パラリンピック出場なし、個人契約で強化に励む

15年のアジア選手権でリオパラリンピック出場を逃した。川村は東京へ向けて、チーム練習だけでなく、個人でコーチと契約して空間認知の精度や決定力の向上に努めている 【写真:アフロスポーツ】

 川村はクラブチームの「Avanzareつくば」に所属し、13年に日本代表デビュー。14年に東京で開催された世界選手権で日本は過去最高位となる6位をマークした。15年、リオパラリンピックの出場権を懸けたアジア選手権が、同じ東京で行われた。スタンドには日本のサポーターが大勢詰め掛けていた。

 初戦で、当時世界ランキング9位の日本が、同5位の中国と対戦。勝利すれば、出場権獲得のチャンスは間違いなく手元に引き寄せられたはずだった。が、日本は得点できず0−1で敗れた。

「攻め続ければ、中国が嫌がることはピッチの中でひしひし感じられた。それなのに、攻めきる勇気がなかったんです」

 2枠の出場権は、イランと中国が獲得。日本はパラリンピック初出場の機会を逃したのだった。

 川村は、その後新たなジャパンチームの主将となった。高田敏志監督をはじめ、フィジカルコーチ、戦術・技術コーチ、メンタルコーチなどは全て健常者のサッカーで実績を積んでいるスペシャリストがそろう。川村は、チーム練習とは別に個人契約してそのコーチ陣から個別指導も受けている。

 空間認知の精度を上げることが、ブラサカ全てのプレーにつながっていく。だからこそ、サッカーの技術やフィジカルトレーニングだけでなく、空間認知のトレーニングも疎かにはできない。

「例えば、誰かと会話をしている時に、声のする方をピンポイントで指し示す。日常生活でもできます。要は、それをどれだけ意識するか。意識を高めておかなければ、試合で発揮することはできませんから」

 足裏の感覚を研ぎ澄ますことも重要だ。
「毎日、練習後や就寝前などに足の指1本1本を丁寧にもみほぐして、足部の関節や筋肉を柔らかく使えるようにケアしています」

 そして、求めるべきは、決定力。
「ディフェンスをかわす体の動き、ステップを入れてタイミングをずらす、トウキックなど、シュートバリエーションを増やす。15年のアジア選手権の時には、最後は右足でシュートすることが多かったけれど、今は左右どちらも同じ精度でシュートが打てるようになってきました」

見えてきた王者ブラジルの背中

今春、ブラジルとの強化試合で手応えを得た川村。直近の目標はアジアチャンピオンだ 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 圧倒的な王者ブラジルとは、公式戦だけでなく強化試合を積み重ねている。ブラジル戦で14年には24%だったルーズボールのマイボール率は、今年47%にまで上がった。相手のゴール前に迫るゾーンへの進入回数も、約2倍に増加している。

「ブラジルの背中が見えて来た」

 まもなくマレーシアでアジア選手権が開催される。

「アジアチャンピオンになって、世界のトップに挑戦するのが最大の目標です」

 まずはアジアの頂点へ。そして3年後の東京パラリンピックで、ブラジルを倒して世界一へ。川村の挑戦は続く。

2/2ページ

著者プロフィール

東京生まれ。マリンスポーツ専門誌を発行する出版社で、ウインドサーフィン専門誌の編集部勤務を経て、フリーランスライターに。雑誌・書籍などの編集・執筆にたずさわる。得意分野はバレーボール(インドア、ビーチとも)、スキー(特にフリースタイル系)、フィットネス、健康関連。また、パラリンピックなどの障害者スポーツでも取材活動中。日本スポーツプレス協会会員、国際スポーツプレス協会会員。著書に『心眼で射止めた金メダル』『希望をくれた人』。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント