日本人を魅了するゴールドコーストマラソン 自己記録更新を狙うランナーにオススメ!

南井正弘

目指すは2011年以来のサブ4

【写真提供:南井正弘】

 今回はH.I.S.のツアーに参加。ゴールドコースト空港への直行便(ジェットスター航空)もあるが、筆者は車で1時間30分ほど離れたブリスベン空港(カンタス航空)行きを選択した。ゴールドコーストマラソンは、H.I.S.のツアーパンフレットなどによると「スタート時の気温が10℃前後」、「コースの高低差が8m」と世界でも屈指の恵まれた条件で走ることができるフルマラソンで、「完走者の6割ほどが自己記録を更新」しているらしい。今回は長距離走などフルマラソンに向けた特別なトレーニングはしていないが、大会までの1か月間、ほぼ毎日6kmのランは欠かさず行っており、体調も悪くないので、レース中は写真を撮らず走ってみることに。可能なら2011年1月の湘南国際マラソンで記録したサブ4(フルマラソンで4時間を切ってゴールすること)を目指したいと思っていた。

 到着したのはレース前々日の金曜日朝。軽く昼食を食べ、ホテルから2kmほどの距離にあるゴールドコーストコンベンションセンターで開催されているエクスポでゼッケンのピックアップ。ゼッケンのピックアップエリアには日本語のわかるスタッフもいるので、英語に自信のないランナーも安心。また会社によって異なるが、ツアー申込会社経由でエントリーしたランナーはエクスポではなく、各旅行会社のツアーデスクでゼッケンを受け取ることも可能らしい。

 エクスポの規模は東京マラソンやニューヨークシティマラソンといった6大大会と比較すると小規模だが、同じオーストラリアで開催されるシドニーマラソンよりは明らかに規模が大きく、出展ブランドも多い。スポーツのメインスポンサーは日本のアシックスで、ノースリーブシャツを始めとして魅力的なプロダクトが数多く展開されていたが、ニューヨークシティマラソンやロサンゼルスマラソンで、レース前日のエクスポ最終日には半額セールを行っていたのを思い出し、「明日の夕方にまた来よう!」とこの日は買い物せずに帰る。エクスポ会場内には各ブランドやショップが物販を行う他、自社の製品を無料で提供して良さを知ってもらうサンプリングも行われていたが、そのなかで特に人気だったのが、日本でもおなじみのキウイフルーツのゼスプリ。日本で買うと150円〜200円ほどする濃厚な甘みが特徴のゼスプリゴールドが無料で来場者に提供されていた。

【写真提供:南井正弘】

 ゼッケンのピックアップエリアには写真のジェイデン君のように日本語の流暢なスタッフもいるので、英語の苦手なランナーも安心だ。

【写真提供:南井正弘】

 スポーツ用品のメインスポンサーであるアシックスのブース。記念Tシャツを始めとした豊富なラインアップが来場者の購買意欲を刺激する。アメリカの大会と異なりエクスポ最終日にはめぼしいアイテムは売り切れるので、早めの購入が正解だ。

【写真提供:南井正弘】

 エクスポにはアシックス以外にもランニング関連の様々なブランドが出展している。
 エクスポで特に人気のあったのがキウイフルーツでおなじみのゼスプリのブース。濃厚な甘みで知られるゼスプリゴールドを無料で提供していた。

スタート時点で気温は10℃、サブ4達成なるか

 あたりが暗いうちからランナーはスタート地点となるサウスポート地区へ。気温は10℃前後とかなり寒く、寒いのには強いはずの白人ランナーもガタガタと震えている人も珍しくない。逆に10℃という気温はマラソン競技に最適と言われているので、「このまま気温が上がらないでくれ!」と願ったが……。

 ハーフマラソンは6時スタートで、その1時間20分後にエリートランナーを先頭にフルマラソンも号砲一発スタート。フルマラソンスタートの7時20分頃にはあたりはすっかり明るくなっていた。とある事情からエリートランナーのすぐ後ろのAブロックからスタートしたが、他の大規模マラソンと違ってランナー同士がギスギスしていなく、スタートまでの時間をおしゃべりするなどリラックスして過ごす。スタートからしばらくは街中を走って海岸沿いを目指したが、ゴールドコーストマラソンの魅力のひとつは美しい海沿いを走ることができる点だ。その美しい景色と数多くの沿道の応援は疲れを忘れさせてくれる。坂という坂は数えるほどで、高低差8mというフラットなコースは本当に走りやすく、6年半ぶりのサブ4を狙った筆者にも、その可能性を30km地点までは残してくれた。

 その後無情にも気温はグングン上昇し、最終的に気温は22℃になったことから後半失速し、4時間4分28秒でゴール。残念ながらサブ4達成はならなかったが、自己2番目の記録をマークすることができたのはゴールドコーストマラソンのコース設定と気候によるところが大きい。

 今回はほぼ毎日の6kmランは続けていたが、それより長い距離を走ったのは10kmを二回だけ。フルマラソンに向けた練習が全くといっていいほどできなかった状態でも今回のような好記録をマークしたことで、「完走者の6割ほどが自己記録を更新!」という事前情報にも心から納得することができた。

自己ベストを狙うランナーもファンランナーも満足できる大会

【写真提供:南井正弘】

 このようにゴールドコーストマラソンはフラットなコースが自己記録更新を後押ししてくれるのに加え、沿道の声援はフルマラソンを楽しんで走りたいというランナーにも大きなサポートとなる。アメリカやヨーロッパと違って時差が少ないということも日本人ランナーにとってありがたい。今回このレースを実際に走ってみて、毎年日本から多くのランナーが参加するワケを理解することができた。自己記録更新を目指すランナーにもフルマラソンを楽しんで完走したいランナーにも満足できる大会。それがゴールドコーストマラソンということがいえるだろう。

【写真提供:南井正弘】

 スタート時はかなり寒いので、いらなくなった衣類を着てくるローカルランナーは少なくない。これはアメリカのレースと同じ。このサインが示すようにランナーが置いていったアパレルはチャリティに寄贈されるとのこと。

【写真提供:南井正弘】

 エリートランナーを先頭に午前7時20分フルマラソンの部がスタート。

【写真提供:南井正弘】

 ほとんど高低差の無いフラットなことに加えて、海沿いのきれいな景色のコースを走ることができるのもこのレースの大きな魅力だ。

【写真提供:南井正弘】

 高層ビル群をバックに走るランナーたち。

【写真提供:南井正弘】

 もちろんペースメーカーも用意される。写真は5時間のペースメーカー。

【写真提供:南井正弘】

 満足度の高いゴールドコーストマラソンにおける数少ない不満点のひとつが給水所に用意されたスポーツドリンクのENDURA。これがとにかく薄すぎて口に合わず、途中から水に切り替えた。自分だけかと思ったが、普段からこのブランドに慣れ親しんでいる地元ランナーも「薄めすぎだね」と苦笑していたから希釈し過ぎたのは間違いないだろう。

【写真提供:南井正弘】

 スタート時の寒さがウソのように気温が上昇。ゴール後に用意されたミストシャワーは火照ったカラダを冷やしてくれた。

【写真提供:南井正弘】

 完走メダルとスポーツタオル担当のボランティアスタッフ。地元の中学生たちで明るいノリが微笑ましい。

【写真提供:南井正弘】

 リカバリーエリアにもゼスプリのブースが。ゴール後のゼスプリゴールドはより一層美味しく感じられた。

【写真提供:南井正弘】

 完走メダルはカラフルでスタイリッシュ。貰って「嬉しい!」と心から思えるはず。

【写真提供:南井正弘】

【写真提供:南井正弘】

 完走Tシャツはアシックス製かと期待したら、そうではなくちょっぴり残念。あと大きな問題がサイズの小ささ。一般的なオーストラリアサイズはタグにAUS S‐JPN MかJPN Lと表記されることが多いが、このTシャツはそれよりもかなり小さく、日本のSサイズとほぼ同じ大きさ。身長168僉体重66圓良者でもSサイズはピチピチで着られなかった。来年以降エントリーされる人は、この点に留意してサイズ選択してほしい。
 Tシャツと一緒にスポーツタオルが提供されるのはありがたい。

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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