世界遺産、聖地エルサレムマラソンを走る 歴史深き石畳の市街コース…記憶に残るレースに

南井正弘

【写真提供:南井正弘】

エルサレムで行われている国際ロードレース

 エルサレムと聞いて、どんなイメージを持つだろうか? ニュースに登場することも多いので、イスラエルにある都市であり、世界遺産に指定されていて、キリスト教やユダヤ教、イスラム教の聖地であることくらいは知っている人は多いだろう。しかしながらエルサレムという街の詳しい歴史や現在の街の様子まで知っている日本人は少ない。そんなエルサレムでもランニングのロードレースが行われている。それが「インターナショナル エルサレムマラソン」であり、今回筆者はハーフマラソンにエントリーし、歴史あるエルサレムの街を走ってきた。

ユダヤ教の安息日前、金曜日に開催

 イスラエルと聞くと戦争や紛争というイメージを持つ読者は少なくないだろう。実際に筆者もそうであった。しかしながら大手アパレルセレクトショップの代表取締役を務める大学時代の友人が昨年出張で訪れており、「治安もいいし、街はキレイだし、食事も美味しいから、ホントおすすめの国だよ!」と教えてくれ、その言葉が後押しになり、インターナショナル エルサレムマラソンへのエントリーを決心した。

 日本からイスラエルへは直行便は就航していないので、今回はアエロフロート航空のモスクワはシェレメーチエヴォ空港経由で。利用したことのない航空会社だったので若干不安はあったが、モスクワまではエアバスA330の機材で10時間の快適なフライト。2時間ほどの乗継時間の後、3時間30分ほどのフライトでイスラエルの空の玄関であるベン・グリオン国際空港に到着した。イスラエルの国土は四国とさほど変わらない面積なので、都市間の移動もさほどかからない。イスラエル屈指の大都市テルアビブ郊外の空港からエルサレムまでもハイヤーで45分ほどであった。

 今回で第7回となるインターナショナル エルサレムマラソンの開催は3月17日の金曜日。日本だけでなくランニングイベントは土曜日か日曜日に開催されるのが一般的だから珍しい。これには理由があって、ユダヤ教徒は金曜日の日没から土曜日の日没までシャバットという安息日を定めており、参加者はこのレースを走って、そのまま安息日を迎えるということである。

大会Tシャツは独自性のあるデザイン

参加Tシャツはニューバランス社製の吸汗速乾タイプ。レース本番での着用率が非常に高かった。 【写真提供:南井正弘】

 前日の16日にエルサレムアリーナで行われたエクスポへ。筆者を始めとした海外からのメディアクルーは、16日朝に行われたニール・バルカート エルサレム市長やアフリカからの有力選手とのファンランのタイミングでゼッケンを受け取っていたが、一般のランナーはここでゼッケンや参加Tシャツをピックアップする。ちなみにTシャツはスポーツのオフィシャルスポンサーであるニューバランス社製の吸汗速乾タイプ。デザインはアメリカや日本、ヨーロッパの大会のTシャツと比較して独自性があり、大会での着用率が非常に高かった。

かなり大規模で、ニューバランスのブースを中心に多くの来場者で賑わっていた。 【写真提供:南井正弘】

 エクスポはニューバランスが一番大きなブースを構えていたほか、スポーツシューズではブルックス、サッカニー、ミズノ、ホカオネオネといったブランドも出展。数多くのランナーで賑わっていた。アリーナ内ではアメリカのランニングイベントでポピュラーなパスタパーティ、すなわち「レース前日にパスタなどの炭水化物を大量に摂取して、翌日のレースのエネルギーにしましょう!」というディナーイベントも開催されており、こちらは別途料金が発生するが、海外からインターナショナル エルサレムマラソンにエントリーしたランナーを中心に会場は多くのランナーで溢れていた。

レース前日のパスタパーティもエルサレムアリーナにて。パスタ以外にサラダ類etc.も供されていた。 【写真提供:南井正弘】

1/2ページ

著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント