狙いは3番人気以下の4〜5歳、そして外枠 女王杯のカギ握る府中牝馬Sをデータ分析

JRA-VANデータラボ

前走クラス・レース別成績(G2昇格後6年、レースは好走馬輩出レース)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 G2昇格後の前走クラス別の成績を見ると、G1のステップレースにも関わらず、前走でG1に出走していた馬は【0.0.1.8】で、11年にはアパパネが1番人気14着、12年にはホエールキャプチャが2番人気で11着など、人気馬の大敗も見られる。3着1回は昨年のスマートレイアー(今年は京都大賞典へ出走)だが、これも1番人気での3着のため、「好走」というよりは「敗退」だ。一方、好走馬が多いのは前走G3組。そしてオープン特別組も出走数こそ少ないものの好走確率は高い。G2に昇格したとはいえ、前走がG3やオープン特別だった馬でも大いにチャンスがあるレースになっている。

前走G3からの好走馬(G2昇格後)

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走G3組の好走馬11頭である。今回5番人気以内の馬が多いのは、他の組にも共通する傾向だが、その11頭中10頭は、前走でも4番人気以内と上位人気に推された馬だった。また、8頭は前走で掲示板は確保。そして11頭中10頭には前々走以前に重賞勝ちの実績があり、残る1頭・12年2着のスマートシルエットは、前々年の府中牝馬Sで3着に好走した実績を持っていた。いずれにしても、近走まったくの不振では厳しく、重賞実績もある馬が前走G3組の狙いだ。

前走G3以外からの好走馬(G2昇格後)

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 一方、表7は前走G3以外からの好走馬7頭である。G2昇格からの2年間は前走G3組ばかりが馬券に絡んでいたが、13年以降はこちらからも安定して好走馬が出ている。こちらの組に共通するのは、まず前走4番人気以内での連対馬で、これが7頭中4頭。残る3頭はホエールキャプチャ2回と昨年のスマートレイアーで、ともにG1連対実績を持つ馬だった。ただ、このうち前走自体がG1だったのは、昨年のスマートレイアーだけ。前述のように、3着とはいえ1番人気で敗退した馬である。G1実績を持ち、前走もG1に出走していた馬よりは、その他の馬を狙ったほうが良さそうな傾向だ。また、G1実績のない馬でも、オープン勝ちか重賞連対くらいの実績は必要になる。

 以上、府中牝馬Sの傾向をざっと洗ってみた。前週が土〜月の3日間開催だったため、本稿執筆時点でまだ登録馬は発表されていないが、まず覚えておきたいのは、1〜2番人気馬の勝利がないこと(表1)。好走できるのはほぼ4〜5歳馬ばかり(表2)で、G1の前哨戦だからといって、前走G1やG2出走馬が強いわけではない(表5)ことにも要注意。また、1着候補、あるいは4番人気以下の好走候補は枠順もカギを握る(表3)。そのため、枠順確定前はおおまかに候補馬を探るにとどめ、枠順を見てから1着候補や穴の2〜3着候補を決めていくことをおすすめしたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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