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本田圭佑の“らしい”教育論とJへの見解
村井チェアマンと日本の未来を語る

本田が受けた愛のあるスパルタ教育

多くの挫折を経て成長してきた本田。「子供を指導者に預ける前の段階」に重要性を感じているようだ
多くの挫折を経て成長してきた本田。「子供を指導者に預ける前の段階」に重要性を感じているようだ【写真:田村翔/アフロスポーツ】

本田 ただ、今後日本のサッカーをものすごく急激に発展させて、日本代表が本当にワールドカップ(W杯)で優勝するような力を身につけていくには、どうやったらリバウンドメンタリティーのようなものを培えるかまで落とし込むべきだと思います。


村井 W杯ブラジル大会のコートジボワール戦で、本田選手が先制した後に、2点取られて負けてしまったじゃないですか。僕も現地で観戦していたんですよ。後半途中に(ディディエ・)ドログバが出てくると、地鳴りが起こったような雰囲気になった。あのとき(アルベルト・)ザッケローニ監督がベンチで叫んでいましたが、多分聞こえないですよね?


本田 聞こえていないです。


村井 そういう状況だと、指示を待つのではなく、自分たちでどうやって立て直していくかを考えなければならない。


本田 自分たちで考える力について話すと、学校教育にたどり着くんですよね。あと親の教育。もう教育環境が全てですよね。僕はどんなに失敗しても、後付けでポジティブな理由を付けることができる。人生一回だし、どうせ死ぬし、めちゃくちゃ卑怯なんですけれど、とにかく自分の中で失敗を美化する。失敗イコール自慢できるものだと思っています。


村井 本田さんはG大阪のユースに落ちたときに、星稜高校に行くわけですよね。地元の公立高校に行くべきというアドバイスがある中、反対を押し切って遠く離れた石川県の高校に行った。まさにリバウンドメンタリティーだと思うのですが、本田さんはどうやってそれを身につけたんですか?


本田 僕は両親が早くに離婚していて、父親の方に引きとられたんですね。父親の両親、つまり僕の祖父母に、昭和ど真ん中の超スパルタ教育を受けた。本当、毎日殴られていたんですよ。でもそれが、ものすごく愛があったんだなって思うんですよ。


 今まさに暴力っていうのがすごく社会問題になっていて、学校の先生が手をあげるのはまずありえないとなっている。僕がこんなん言ったらまた炎上するのが目に見えているんですが、僕は必要とあらば手をあげるのはありだといまだに思っているんです。


 愛があったら、ありだと思っているんです。要はそれが感情的になって手をあげるからダメなんです。教育ならありなんです。結局、自分が殴られたりひっぱたかれたりして痛みを分からない人間が大人になって、人の痛み分かりますかって話なんです。


 僕は幼少の頃から、喧嘩をよくして、人を傷つけて、傷つけられての繰り返しは人より多かった。精神的にも、G大阪のユースに落ちて、すごく傷つきました。でも、中学校3年生までにそういう経験をたくさんして、どうやったら挫折を次につなげられるかというノウハウは、15歳でしたけれど、それなりにあったんだと思います。


 もちろん成熟していなかったですけれど、挫折を克服してプラスに変えるっていうメンタリティーは15歳までに構築されていたんですよ。それは祖父母の厳しい教育の影響が大きい。時代と環境が、僕を育ててくれた。今は栄養を与えすぎていると思うんですよ。トゥーマッチインフォメーションだと思う。


村井 ハングリーじゃないと。


本田 そうなんですよ。ハングリーじゃないんですよ。サッカー少年たちにハングリーさを植え付けるためには、情報を与えすぎるのは逆効果なんだってことも、考えないといけないですよね。

リバウンドメンタリティーを養うためには……

「日本がW杯で優勝するために」を議論していくうちに、2人の話は教育論へと及ぶ
「日本がW杯で優勝するために」を議論していくうちに、2人の話は教育論へと及ぶ【(C)︎REALQ / Keita Yasukawa】

村井 僕も経営者として、挫折も多かったし、失敗も多かった。決して一流の経営者じゃない。いろいろ言われて、書かれて、いつもヘコんでいる。自分ではヘコむときはなるべくリカバリーするようにしているけれど、この歳になると新たな方法論を身につけるのは簡単ではない。


 でも、15歳までだったら、もっと身につけられる。そこに取り組めば、いい選手、もしくはいいクラブ経営者、いろいろな人材が出てくるんじゃないかな。


本田 出てきますよね。村井さんがおっしゃられた傾聴力、主張力って、1年、2年で身につくものじゃないじゃないですか。まさに大人になってからでは、簡単には身につかない。


 僕は自分が子育てするときに、ちょっとけがをしそうだなという遊びでも、なるべく止めないようにしているんですね。ただ、止めるか、止めないかのジャッジをする上で、個人的に大事にしているものがあって、それは「骨くらい折れてもいいや」ということなんですよ。


 でも、骨がどうしたら折れるかっていうジャッジは、自分自身が骨を折った経験がないと難しいと思うんですね。僕は医者でもなんでもないのですが、子供の頃にサッカーでも遊びでもたくさんけがをしたので、ある程度けがの重さが分かる。


村井 自分のデータベースの中で、これ以上いくと危ないとか分かるわけだ。


本田 そうなんですよ。さすがに命の危険があったら、絶対にやらせたくないです。ただ、骨折もいい経験だと思っている。骨くらい折れずに大人になるなんてという考えがある。痛い思いをしろと思っているので、できるだけ止めないようにしている。


 こういうアプローチも、子供を指導者に預ける前の段階として大事なんじゃないかなって。そのベースを身につけた上でサッカーに触れ、指導者に巡り合い、人間性とサッカー、両方教えてもらう。だから全員がこのプロジェクトに携わらないといけないんですよね。サッカー界だけじゃないと思っている。


村井 まずサッカーから手をあげて活動し始めて、地域の学校や家庭と連携しながら、打たれ強いリバウンドメンタリティーを持った社会へしていこうと発信したいと僕は思っている。だから本田さんや岡崎さん本人に来てもらって、直接リバウンドメンタリティーの大切さを説いてほしいと思うんだけれども(笑)。


本田 新人研修ですか。いやいや、僕なんかがおこがましいです。でも、僕ら(ホンダエスティーロ)のサッカースクールが今全国で約70カ所ありますし、村井さんのプロジェクトに僕も関われることは何かあるかなと思っています。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

番組紹介

【REALQ】

『KEISUKE HONDA CAFE SURVIVE』(制作著作:REALQ)

Amazonプライム・ビデオにて独占配信中


第1回:本田圭佑×村井満(Jリーグチェアマン)前編

第2回:本田圭佑×村井満(Jリーグチェアマン)後編

第3回:本田圭佑×嶋岡学(約1万4千人のエンジニアを抱える技術立国日本を支える派遣会社社長)

第4回:本田圭佑×斎藤由多加(AI研究者、伝説のゲーム「シーマン」の開発者)

第5回:本田圭佑×堀江裕介(料理動画「クラシル」を手がける25歳の社長)

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