本田真凜、再認識した“自分らしさ”「守りに入る必要ない」演技構成変更へ

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目指すべき道がクリアになった

「ミスしないこと」を第一に考えていたが、それだけではシニアで戦っていけないことを痛感 【写真:坂本清】

 この3日間で本田の心の持ちようは大きく変わった。大会の前日には「自分がミスなく演技できればどのくらいのレベルにいられるのか。それが全然分からないですし、ジュニアのときはどの試合でも優勝することを目標にしてきましたけど、シニアではまだそういうのがないんです。目標を決めたほうがいいのか、何も目標がない状態で楽しくやったほうがいいのかは、試合を通して考えていきたい」と、自身の中でも方向性がはっきりしていないようだった。

 また練習中にはシニアの選手に見入ってしまい、「すごいな」と気後れしてしまうこともあったという。つまり、まだこの時点ではシニアで戦う心構えができていなかったのだ。

 しかし、実際にトップ選手と同じ舞台に立ち、これまでと違う雰囲気を味わったことによって、目指すべき道がクリアになった。「失敗を恐れず、難しいことに挑戦する」。2016年の世界ジュニアで優勝し、昨季は同年代から追われる立場となった。いつしか守りに入ってしまい、「ミスしないこと」を第一に考えていた。

 だが、それだけではシニアで戦っていけない。ジャパンオープンで味わった悔しさは、本田にとって“自分らしさ”を再認識するきっかけにもなった。グランプリ(GP)シリーズのデビュー戦となるスケートカナダが3週間後に行われるが、そこへ向けて演技構成を再考していくつもりだ。

GPシリーズのテーマは「不撓不屈」

GPシリーズのテーマを「不撓不屈」とした本田。どんな困難にもあきらめない気持ちで、シニアの世界で戦う決心を示した 【写真:坂本清】

 平昌五輪の出場枠は2つ。現時点で総合得点の自己ベストを見ると、宮原知子(関西大)、三原、樋口新葉(日本橋女学館高)の3選手が他を引き離しており、本田はそのあとに続く位置にいる。現実的に考えて五輪への道は険しいと言わざるを得ない。ただ、現状の差を埋めていくためには、リスクを冒して難しい挑戦を続けていくしかないのも事実。壁を越えた先にこそ見える風景がある。

 振り返れば、昨季シニア1年目だった三原と樋口も、世界選手権で悔しさを経験し、その3週間後の国別対抗戦で飛躍的にスコアを伸ばした。1つのきっかけで、若い選手は急速な成長を遂げることがある。

「私はいつもポジティブなので、悔しさや緊張を貴重な経験として楽しんできました。この久しぶりに悔しい気持ちは、今の自分にとっては大切なもの。あと(全日本選手権まで)2カ月半、自分の中でそれをためておきたいと思います」

 本田はGPシリーズに臨むにあたってのテーマを「不撓不屈(ふとうふくつ)」とした。これは強い志を持って、どんな困難にもあきらめないという意味である。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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