【UFC】今も世界の格闘技と触れ合うノゲイラ氏「日本も新しいスターが生まれる過渡期」

長谷川亮

ヒョードル戦は「万全の状態で臨めていたら」

――いろいろな試合がありましたが、04年大晦日の試合でノゲイラさんの到着が遅れ、先に会場入りしていた弟のホジェリオさんがオープニングセレモニーに登場したことがありましたね。

 その話はよくされますね(笑)。あの時は大雪で全然会場に着けなくて、やっと試合の15分前に到着したんです。それでグローブを付けてすぐ試合に出たという感じでした。ヘビー級グランプリ決勝の(エメリヤーエンコ・)ヒョードル戦が無効試合(※偶発的なバッティングによりヒョードルが出血したため)になってそのリマッチだったのですが、いろいろな駅へ行ったのですが1日ずっと駅で待たされていた感じでした。

――試合をいま振り返っていかがでしょうか?

 あの試合のことはよく覚えています。1Rは上手くいきましたが2Rにすごく打撃をもらって結構やられてしまいました。3Rも途中ぐらいまではヒョードルのペースで来て、最後は少し自分が盛り返せましたが、大きな投げも食らったし、彼の方が上だったと思います。もし天候がよく万全の状態で臨めていたら、どうなったか分かりません(微笑)。ヒョードルはすごく良いコンディションでしたし、運がありませんでした。でも、誰の責任でもないし仕方がないことです。それが人生だし、負けたのは自分のせいです。

日本もブラジルも似ている

現在の状況は「ブラジルと日本はすごく似ている」と話すノゲイラ氏。新しいスターが出てくる過渡期にあると考えている 【スポーツナビ】

――日本のファンはノゲイラ選手のそういった潔いところや試合で見せる諦めない精神を愛しましたが、そういう精神性はどんなところから来ているのでしょうか?

 大きな家族で育ったということが1つあって、手が掛かるので3、4歳ぐらいから母親に柔道を習わされました。それでさっきお話したように柔道の精神というのがすごく私に息づいているんじゃないかと思います。母親は私が聞かん坊だったから、静かにさせるため柔道をやらせたんだと思います(笑)。先生もそれを分かっていたから私たちを疲れさせるために毎日3時間も乱取りをさせたのです(笑)。だから帰ったらもう寝るだけだったので、母は助かったと思います(笑)。

――でもそうやって柔道で学んだ精神が今のノゲイラさんにもつながったのですね。

 やっぱり目上の人や位の高い人を重んじるということ、あとは父も勤勉でよく働く人で、人をフェアに平等に扱うようにということをすごく教えられました。なのでそういうところもあるんだと思います。

――ありがとうございます。最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 まず日本に戻ってこられてすごくうれしいし、懐かしい感じがします。日本の格闘技界がもう一度復活して大きなものになってくれるのを期待していますし、それを私もサポートしていきたいと思います。UFCを応援してくれる日本のファンに、自分も応えられるようなことをしていきたいです。あと日本の選手には頑張ってほしいと思っています。私はブラジルと日本はすごく似ていると思っていて、ブラジルも自分がいて(ビクトー・)ベウフォートや(ヴァンダレイ・)シウバがいてチャンピオンでしたが、今は世代が変わって新しい選手が出てきています。日本も世代交代が進んでいて新しいスターが出てくる、その過渡期なんじゃないかと思っていて、すごく似ていると感じています。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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