【ノア】エドワーズが丸藤破りGHCヘビー初防衛 グローバルLは王者不在の戦いに

高木裕美

エドワーズ(右)が丸藤を破りGHCヘビー初防衛に成功 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 プロレスリング・ノアの秋のビッグマッチとなる1日の「GREAT VOYAGE 2017 in YOKOHAMA vol.2」横浜文化体育館大会では、4大タイトルマッチなどが行われ、2274人を動員した。

 メインイベントのGHCヘビー級選手権試合では、エディ・エドワーズが丸藤正道を破り初防衛に成功。10.14東京・後楽園ホールで開幕する次期シリーズ「グローバル・リーグ戦2017」は、王者不在で開催されることになった。

エドワーズ「自分はいつでもノアの一員」

ノア愛を示すかのように、今回もダイハード・フロウジョンで試合を決めた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 エドワーズは8.26後楽園で、これまで7度の防衛に成功していた中嶋勝彦を撃破。01年に同王座が創設されて以来、初の外国人王者に輝いた。

 エドワーズは02年に米国でデビューするも、05年5月よりノアの練習生となり、同年9月に再デビュー。その後は米国に拠点を置き、ROH、TNA、インパクトレスリングなどで活動しながら、定期的にノアに参戦を続けてきた。

“ノア愛”に溢れるエドワーズは、中嶋とのタイトル戦の中でも、かつてノアで活躍してきた先輩たちの技を多用。フィニッシュでは、自身の必殺技ダイ・ハード(足4の字式フィッシャーマンズバスター)と故・三沢光晴さんの必殺技エメラルド・フロウジョンを融合させたダイハード・フロウジョンを初公開し、ノアへの熱い思いを体現していた。

 一方、丸藤も00年8月のノア旗揚げ戦メンバーであり、三沢さんの元付き人であったことから、ノア、そしてベルトへの深い思い入れを隠さず。エドワーズが戴冠した直後にリングに上がって「このベルトはノアの象徴。海外に持って行かれては困る」とその場で王座挑戦表明した。タイトルマッチ決定後の前哨戦となった9.3大阪では、エドワーズの目の前でポールシフト式タイガーフロウジョンを繰り出すなど、ライバル心をムキ出しにしていた。

 多彩なひらめき技を得意とする丸藤に対し、エドワーズも先を読んで対抗。10分過ぎ、丸藤がスワンダイブ式の攻撃を狙ったところ、エドワーズが迎撃して場外へ落とす。ならばと場外マットをはがし、鉄柵を用いた攻撃をもくろむ丸藤に、エドワーズは逆に鉄柵を跨(また)がせた状態でホールドし、そこへ強烈なエルボースイシーダを発射。丸藤は脳天から床へ転落し、場内に鈍い音が響き渡った。丸藤もエプロンでのツームストンパイルドライバーやフロムコーナートゥコーナー、トラースキック、不知火、虎王とたたみかけると、20分過ぎには大技の不知火・改も繰り出すが、カウントは2。エドワーズは不知火をキャッチしてツームストンで突き刺すと、ハイキック2連発、雪崩式フランケンシュタイナー、タイガードライバーからのダイハード・フロウジョンでフィニッシュを決めた。

過去のGHC王者たちにリスペクトを示し、「心の中ではいつでもノアの一員」と話したエドワーズ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 25分を超える熱戦を制したエドワーズは、「丸藤さんは世界でも屈指の素晴らしい選手。こうしてベルトが守れたのはうれしい。小橋(建太)さん、杉浦(貴)さんの前でベルトを防衛できたのが自信になっている」と、元GHC王者であった先輩たちをリスペクト。「今後はどこでも、誰とでも戦いたい。米国、カナダ、日本でもいい。自分はインパクトレスリングの選手だけど、心の中ではいつでもノアの一員。その誇りを持ってノアで防衛していく」とリング上からファンにメッセージを送った。さらに、現在、頸髄完全損傷でリハビリ中の高山善廣に対しても、「自分も夢が叶った。高山さんにも、不可能なことは何もないと伝えたい」とエール。かつて、三沢さんにレスラーとして、人間として大きく育ててもらった感謝を胸に、ノアの歴史とベルトを守っていきたいと語った。

 一方、敗れた丸藤は、悔しさをにじませながら「あきらめないぞ」とつぶやくのがせいいっぱい。至宝の海外流出、GHC王者不在の「グローバル・リーグ戦2017」という危機に、新たなヒーローが現れるのか。それとも、かつて鈴木軍の侵攻を乗り越えた丸藤が、再び救世主となるか。

ヨネ&ストームがGHCタッグを初戴冠

50ファンキーパワーズがGHCタッグ初戴冠 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのGHCタッグ選手権試合では、モハメド ヨネ、クワイエット・ストームの50ファンキーパワーズが、潮崎豪、小峠篤司組を破り、王座初戴冠を果たした。
 潮崎、小峠組は8.26後楽園で「マケタラオワリ」丸藤、マイバッハ谷口組を倒し、新王者になったばかり。一方、50ファンキーパワーズは昨年12月に当時の王者であった潮崎&谷口組への王座挑戦権を獲得しながらも、ストームが上腕二頭筋腱断裂の重傷を負ったため、タイトルマッチは消滅。だが、ストームが今年6月に復帰を果たしたことで、再び勢いを取り戻し、潮崎、小峠組の戴冠直後に、バックステージで王座挑戦を訴えてチャンスをつかんだ。

 パワーで押しまくる挑戦者組に対し、小峠はストームに雪崩式フランケンシュタイナーを仕掛けるも、かわされて自爆。それでも、自らが武器と化し、潮崎に抱えられてロケットで突っ込むなど、捨て身の攻撃を見せ、15分過ぎには雪崩式フランケンシュタイナー、ランニングキックからのキルスイッチが決まるも、ヨネにカットされてしまう。なおもムーンサルトプレス、ヘッドバットで勝利への執念を見せるが、ストームも反撃の50cm腕ラリアットを炸裂。ヨネも潮崎をクォーラルボンバーで封じると、虫の息となった小峠に合体技のファンキーバスターボムを発射。3カウントがたたかれた瞬間、場内も一気に沸き上がった。

 初のGHCタイトルを獲得したストームは、ベルトをギューっと抱きしめ、「幸せ。今日はこのまま寝る。明日もこのまま朝ごはんを食べる」と大はしゃぎ。ヨネも「このまま一生防衛する。死ぬまでチャンピオンでいる」と、浮かれっぱなしだった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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