凱旋門賞 特別インタビューvol.02 ルメール「勝つための全てを持っている」
「馬のコンディションが大きなキーに」
フランスのシャンティ競馬場でも歓喜のシーンを見ることはできるか(写真は16年菊花賞、左から池江調教師、里見オーナー、ルメール) 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
「フランス勢ではアルマンゾル(2016年度欧州最優秀3歳牡馬)が引退したし、上位人気であることに全く驚きはないですね。サトノダイヤモンドは日本で最も強い馬の一頭です。日本馬のレベルの高さは周知の事実で、しかも2400m以上のG1を2勝(有馬記念、菊花賞)している。欧州の競馬関係者も日本馬には大きなリスペクトを持っていて、凱旋門賞に出走する日本馬が強いことは誰もが知っています」
――日本馬初の凱旋門賞制覇の可能性も大いにあると?
「もちろんですよ! それは僕が日本にいる理由でもあるからね。4歳なので(斤量的に)少しタフにはなるけど、サトノダイヤモンドにはそれだけの能力があると思う。とても落ち着いているし、凱旋門賞のようなビッグレースで勝つために必要なものは全て持っていると思うよ」
――日本馬はいまだ凱旋門賞を勝利していませんが、最も大きな要因はどうお考えですか?
「馬のコンディション次第だと思います。日本からフランスへの遠征は、馬にとっても大きな環境面での変化があるし、100%のコンディションを保つのはとても難しい。凱旋門賞は100%のコンディションじゃないと勝てないレースです。残念ながらディープインパクトはそうだったと思うし、逆にエルコンドルパサーは良いコンディションで臨めたから2着に来たと思う。モンジュー(1着)が相手だったのは不運でしたが。僕自身は2着でも素晴らしい成績だと思うし、日本馬はしばしば勝利に近いところまできている。このレベルのレースになると、馬のコンディションが大きなキーになることは間違いないですね」
「僕にとっても日本馬で凱旋門賞を勝つことが大きな喜び」
「僕たちとともに一緒に勝ちましょう!」 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
「ジャルネ騎手は僕にとって昔からのアイドルですが、昨シーズン限りで引退しましたね。今の現役騎手では、J.モレイラ騎手とR.ムーア騎手でしょうか。その国の競馬にすぐに適応しますし、世界中の大きなレースをたくさん勝ちますからね。また、一人の人間としても彼らのことを尊敬しています。レース以外でも素晴らしい人間性を持つ騎手が、尊敬できる騎手ですね」
――日本と欧州の違いについて、池江泰寿調教師は「競走馬のレベルは近づいてきているが、それを扱うホースマンのレベルを比較するとまだ開きを感じている」とお話しされていました。ルメール騎手はどう感じていますか?
「僕が思うには、他の強豪国に比べて日本競馬の歴史はまだ若いということですね。イギリスやフランスなどは約200年の歴史がありますが、日本の近代競馬はまだ約80年。日本のホースマンも少しずつ成長し続けていますが、まだまだ頑張っていかなければなりません。もっともっと戦いに挑み、経験を積んで成長していくことが大事です。調教についてはよく分かりませんが、騎手について言えば、若い騎手が違う国でもっと経験を積むべきだと感じています。そこで学んだことを日本の競馬に持ち帰ることで、もっと技術が向上すると思います」
――大舞台でのプレッシャーとの向き合い方については?
「レースの前は集中力を高めますし、少しは緊張感もあります。でもナーバスな感情はありません。ビッグレースの前になるとメディアの方々など周りの環境からプレッシャーは感じますが、僕自身はないですね。レースに100%集中していますし、特にビッグレースではミスも含めて、あらゆる状況をイメージします」
――昨年の凱旋門賞でも緊張はありませんでしたか?
「昨年は周りもピリピリしていましたので、レース3日前からはメディアの方々とは接触せずに集中力を高めていました。僕自身も日本馬で初めて凱旋門賞を戦うということで興奮していましたし、メディアの方々もマカヒキのストーリー、僕のストーリーもあって騒がしい状態だったので。今年は昨年よりは静かになると思います」
――では最後に応援する日本のファンにメッセージをお願いします。
「日本のファンにとって凱旋門賞が重要であることは、もちろん僕も知っています。そして、僕にとっても日本馬で凱旋門賞を勝つことが大きな喜びになります。日本のファンのサポートを信頼していますし、サトノダイヤモンドが凱旋門賞を勝てると信じています。僕たちとともに一緒に勝ちましょう!」