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山本凌雅、世界陸上の悔しさを成長の糧に
日本が世界と戦うため17mの壁突破を
男子三段跳に出場した山本凌雅。今大会は不本意な結果に終わったが、前を向いて目標に向かう
男子三段跳に出場した山本凌雅。今大会は不本意な結果に終わったが、前を向いて目標に向かう【写真:ロイター/アフロ】

 陸上の世界選手権第4日が現地時間7日、ロンドン・スタジアムで行われた。男子三段跳予選に登場した山本凌雅(順天堂大)は、3本目の試技で16メートル01を記録。30人中29位に終わり、予選突破はならなかった。

気持ちとは裏腹に1、2本目を失敗

「17メートル」が自動的に予選通過できるラインとなった同種目。優勝候補筆頭のクリスチャン・テイラー、クリス・ベナード(ともに米国)らが1発でそのラインを超えていく。「周りが17メートルを跳ぶことで、マイナスな気持ちにはなりませんでした。逆に、こういった場で『自分の跳躍をしたい』と、強い気持ちで臨みました」と意気込む山本は、1本目から積極的に記録を狙っていた。


 ただ気持ちとは裏腹に、踏み切りが合わず1本目はファール。続く2本目も助走スピードを上げることで調整してみたが、やはり合わず、記録なしが続いてしまった。


「状態は良かったです。気持ちの面でも盛り上がっていたし、記録を狙える状況ではあったと思います。1本1本、本気で17メートルに目標を置いてやっていました」


 今年4月の織田記念国際(広島)で日本歴代6位となる16メートル87を突破したときも、1本目の試技だった。この跳躍で世界選手権の参加標準記録を突破し、その勢いのまま、4本目には追い風参考(+4.7メートル)ながら、16メートル91まで記録を伸ばしている。代表内定を決めた日本選手権のときも、1本目で16メートル29を跳び、そのまま選手権2連覇を達成していた。

最後は雰囲気にのまれ……

この舞台の空気に「『のまれた』と感じました」と振り返った山本
この舞台の空気に「『のまれた』と感じました」と振り返った山本【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 しかしロンドンの舞台では、同じような展開にならなかった。序盤で出遅れた分、最後の挑戦となる3本目の試技のときには、まったく違う思いが生まれていた。


「この舞台に立って思ったのですが、周りの勢いがすごいなと。3本目のときには『のまれた』と感じました」


 序盤に持っていた17メートルを超えるという気持ちが、いつの間にか「記録を残さないといけない」という雰囲気に流された。それが動揺となり、他選手の記録が気になり始める。結局、最後のジャンプは何とか踏み切りを合わせたものの、16メートルをギリギリ超える低調なものになり、すべての挑戦が終わったとき、山本は天を仰ぐしかなかった。


「悔しいです。状態も、気持ちの面でも悪いものではなかったので。応援してくれる方に記録で恩返ししたいという気持ちが強く、それができなくてすごい悔しいです」


 初めて臨んだ“世界一を決める舞台”の思い出は、山本にとってホロ苦いものになってしまった。

まずは「最古の日本記録」更新を

 現在の男子三段跳の日本記録は1986年に山下訓史さんが出した17メートル15。昨年のリオデジャネイロ五輪代表の長谷川大悟(横浜市陸協)、山下航平(福島陸協)も、17メートルにあと一歩届いていない。そして何より、今年7月に最古の日本記録だった男子円盤投の記録(1979年4月)が更新されたことで、男子五輪種目としては、三段跳が一番古くなってしまったのだ。


 世界から大きく遅れた「時計の針」を進ませる――。それが山本も含めた、三段跳界の使命でもある。そこをクリアしないと、すでに「18メートル」のレベルに達している世界には、到底追いつけない。


 だからこそ、今回の経験は山本にとって、吹っ切れる糧になった。

「こういった悔しい気持ちが自分を強くすると思います。この悔しさを絶対忘れないで、次に生かしたいと思います」と前を向く。


「今シーズンはまだ終わってないし、この後にはユニバーシアード(8月19日〜/台北)、日本学生対校選手権(9月8日〜/福井)とあるので、学生のうちに日本記録を出すという目標はあきらめていません。こうなったら、その目標に向けて、気持ちを切り替えていきます」と、より目標を明確にしている。


 今年中に「17メートル」を超えることは、残り3年を切った2020年東京五輪で、日本人が世界で戦うレベルにいるために、必要な過程でもあるだろう。


「今回、一緒に戦う日本人選手がいなかったのは、少し寂しい気持ちもありました。そういう面では日本でこういった世界大会があるのは、自分にとってプラスになるし、もっともっと気持ち的にも高まってくると思う」


 ロンドンの地で感じた悔しさは、今後の成長のきっかけへと変わるはずだ。


(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)

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