清宮幸太郎に神様が残してくれたこと 大きな成長を実感した早稲田実の3年間

清水岳志

仲間と一緒にやってきた幸福感

試合後の会見で、清宮は報道陣から仲間のことを問われ、涙した 【写真は共同】

 表彰式では気持ちのコントロールができていたそうだが、ゲーム後のインタビューで、涙をこらえきれなくなった。一緒にやった仲間について問われた時だ。「すみません」と言って涙がこぼれ落ちて30秒間の沈黙があった。

「こんな自分についてきてくれたことが本当にうれしかった。準優勝でしたけど、日本一のチームでした。このユニホームを着られるのは最後ですし、みんなと一緒にチームを作る過程とか友情が本当に追い求めていたこと。自分も変われたし、ここでしか味わえない技術的なこと、そして人間的なことがたくさんあった」

 インタビューは普段と違って言葉を選びながら、詰まらせながら、仲間と一緒にやってきた幸福感に包まれていた。

「辛かったこと? 2年半、ぜんぜんないです。おかげで成長させてもらった」

準優勝に「これで終わりじゃない」

「準優勝で終わったということは、これで終わりじゃないんだぞ、と神様に言ってもらってると思って、次に頑張りたい」と前を見据えた 【写真は共同】

 最後もスローガンについて触れた。

「チームをひとつにするために鼓舞できた。自分を救ってくれた言葉。われながら、『GO!GO!GO!』はいい言葉でした(笑)」

 神様が残してくれたことをあえて言うなら、最後に甲子園に出られなかったこと。逆にドラマチックな結末だったように思える。順調すぎたり世間の期待通りの成功は時には“待った”がかかる。そこは本人が一番、わかっている。

「準優勝で終わったということは、これで終わりじゃないんだぞ、と神様に言ってもらってると思って、次に頑張りたい」

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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