田中将大、早くもワースト被弾数も… マリナーズの打者が感じた復調の気配
「これまでと変わらない」と語るクルーズ
田中は4回以降は快投し、復調の気配を感じさせた 【写真は共同】
「対戦の数が少ないうちは投手が有利だと思う。それに対して打者が適応していく。それに対して今度は、投手が適応する。投手と打者はそれを繰り返すが、俺の場合、まだ、初対戦の頃と状況が変わらない(笑)」
2打数無安打1死球だったカイル・シーガーも田中が4月、5月に苦しんだことが信じられないとでも言わんばかりだった。
「今まで対戦した彼と特には変わらない。低めの制球がいい投手だ」
1打席目は、低めのスライダーを振って三振に倒れた。
「低めの場合、どうしてもスプリットが頭をよぎるから、スライダーが来ると合わせにくい」
三振に仕留めた球は本来、捕手が内角低めに構えていたので、田中は、左打者の後ろ足に曲がっていくバックフットスライダーを投げようとしたのだろう。しかし、シーガーの頭にはスプリットが意識にあるので、多少コースが違っても、対応が難しい。「動きが違うから」。
そのバックフットスライダーだが、実はダルビッシュ有と投げあった6月23日の登板ぐらいから使用頻度が増え、伴って投球の幅が広がったようにも映る。3回、カノから三振を奪ったのも、バックフットスライダー。左打者にとっては、やっかいな球だ。
踏ん張るところを踏ん張れず
「ランナーをためられて、2点を追加されたところが一番くい止めるべきところだった」
2本の本塁打以上にシーガーへの1球と2死からの連続タイムリーは、後味の悪さを残した。ただ、「ある意味どうしてこうなっているか分かっている分、納得できるというか、こういう結果が出てしまっていることに対して、納得はできます」と田中。あとに引きずるほどではないのかもしれない。
ところで、「今年だけじゃない」と岩隈が言っていたことを、後でもう少し掘り下げてみた。
するとどうやら、15年のオールスター明けから、徐々にボールが飛ぶ傾向が出ているよう。『The Ringer』というサイトに掲載されていた「The Juiced Ball Is Back」(6月14日付け)という記事に詳しいデータが出ていた。そのホームランに関するデータは近いうちにまとめたいが、そういう確かな傾向が出ている以上、今度は投手が適応していかなくてはならない。
田中はそこで、どう答えを見つけていくのか。
復調気配が漂う中で、それを確かなものとするため、想定外のことをどこまで想定し、その可能性をつぶしていけるかが、今後の結果にもつながっていくのかもしれない。