“史上最大の下克上”から7年――元ロッテ・金泰均の今
バッティングセンターに通った日々
2010年から2年間、ロッテに在籍した金泰均。10年にはチームトップの21本塁打を放ち、ロッテの日本一に大きく貢献した 【写真は共同】
「朝、治療をしてウエイトトレーニングをした後、(金)泰均兄さんの提案で昼過ぎから一緒にバッティングセンターに通いました。最初は2ゲーム(1ゲーム24球)だったのが、2日目には3ゲーム、3日目からは“1日1000円(96球)までやろう”と2週間の滞在中、10日は行きました。横浜では泰均兄さんがいろいろと気に掛けてくれたおかげで、僕の野球に取り組む意識が変わりました。それは今の成績(打率3割4分9厘。規定打席未満/9本塁打、25打点)にもつながっています」
金泰均と李性烈が通ったのは、金玲瓏通訳がネット検索で探した横浜市緑区の中山バッティングセンター。このバッティングセンターは軟球と硬球が選べ、軟球は球速150キロまで出るもののプロ向けの施設ではない。同店のオーナーに金泰均が訪れたことを伝えると、「プロ野球選手が練習に来たという話はこれまで聞いたことがない」と驚きを口にする程だった。
金泰均はバッティングセンターに通ったことについて、「ただボールに目を慣らしただけ」と話し、技術的な成果を上げるためではなかった。しかし離脱中も気持ちを切らさなかった金泰均は復帰後、ブランクを感じさせることなく連続出塁を続け、チームを引っ張った。
ノーステップ打法は変わらず
現在、ハンファは10球団中の8位。5月には監督が途中辞任している。長らく低迷しているハンファが優勝したのは99年の1度だけ。ポストシーズン進出にも9シーズン遠ざかっている。金泰均にとってプロ唯一の優勝経験が10年の「史上最大の下剋上」だった。
当時のロッテ優勝メンバーで今の金泰均と同じ35歳だったのが、先日、今季限りでの現役引退を表明した井口資仁だ。金泰均は今の自身同様にチームをけん引していた井口にこんなはなむけの言葉を送った。
「長い間苦労を重ねた結果、しっかりと成績を残して優勝も経験しているので、充実した野球人生を送ったのではないかと思います。いい指導者になって欲しいです」
韓国・KBOリーグは5位までに入れば、ポストシーズン進出の権利が得られる。今年はハンファに下剋上の機会は訪れるか。現在、打率3割5分(リーグ5位/8本塁打、48打点)を残している金泰均はその時が来ることを信じ、日々、早出特打ちを志願している(記録は6月25日現在)。