菊池雄星、またもソフトBに勝てず 西武の“真のエース”へ試練は続く
ヤフオクドームのマウンドが合わない?
菊池(写真左)にとって、最後の関門がソフトバンク戦。次にヤフオクドームで投げるときは恐らくシーズンを左右するマウンドになるはずだ 【写真は共同】
ただし、「ソフトバンクに勝てない」で済ませることはできない。5月19日の前回対戦では本調子でないなか、8回2失点に抑えている。だからこそ試合前、炭谷は「普通に勝てる」と自信を持って話した。
当然ソフトバンクへの意識はあるだろうが、“別人”になった理由は他にも考えられる。
「(同じソフトバンク戦でも)メットライフドームではある程度(内容が)良くて、ヤフオクドームで悪いというのは、もちろんマウンドが関係しているだろうし」
炭谷がそう振り返ったように、本拠地・所沢では今季2回の登板ともに試合をつくっているのだ。そう考えると、ヤフオクドームのマウンドが合わないのではないだろうか。
「名古屋とか神宮も初めてのマウンドで対応できていたので、そこは違うと思います」
菊池はきっぱり否定したが、投手がマウンドのせいにするはずがない。事実、ヤフオクドームでは通算8度の先発で40回3分の1を投げて31失点、防御率6.92で6度の黒星を喫している一方、本拠地では42回で21失点、防御率3.64だ。傾斜があって硬いとされるヤフオクドームのマウンドでは、とりわけ苦戦を強いられている。
それでも、手をこまねいているわけにはいかない。ソフトバンクは上位を争う相手であり、エースが負け続けていては逆転することなど不可能だ。
正捕手の炭谷にそう振ると、立ち止まって答えた。
「ちょっと考えますね。例えば(今日唯一良かった球種の)カーブを連発するとか、方法があるのか。そこは(菊池と)話をしていかないとわからない。特にヤフオクで悪すぎるのでね、毎年毎年」
ソフトB戦で勝つことが最後の関門
先発ローテーションを大きく崩さない場合、敵地での対戦は9月28日(木)に予定される今季のカード最終戦かクライマックスシリーズで、いずれにせよ今季の行方をかけた大一番になるだろう。
鳴り物入りで入団してから8年をかけ、ゆっくりと、一歩ずつ成長してきた菊池にとって、最後に残された関門がソフトバンク戦だ。今季どれだけいいピッチングをしたとしても、この山を乗り越えることができなければ、エースの称号を本当の価値あるものにすることはできない。当然、本人が誰よりわかっているはずである。
そのための試金石が、8月上旬の対戦だ。ホームで勝利を飾り、苦手意識を払拭(ふっしょく)して、より強いプレッシャーのかかる敵地での対戦に挑めるか。
次回の対戦では、菊池が本当の意味でエースになれるか否かが問われることになる。